論文が掲載されました③
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
この度、日本臨床歯科C A D C A M学会で論文が掲載されました。
以前のブログはこちらから
何回かに分けて論文内容を患者さんにもわかりやすいように解説しております。
前回のブログはこちらから
デジタル歯牙移植術〜歯牙移植術をD X化する〜
ハートフル総合歯科グループ 野田裕亮
歯牙移植のメリットは
- 隣在歯を削らず必要以上の咬合負担をかけない
ブリッジは両側の隣在歯を削り被せますが、欠損部分の噛み合わせの負担を土台と
なる歯が分散して受けます。そのため本来以上の噛み合わせの負担がかかるため、
歯根破折の原因となる可能性があります。歯牙移植は基本的に単独の歯として噛める
ようにするため、臨在歯を削って連結させることはほとんどありません。
- 親知らずの歯牙移植は保険適応になることがある
歯牙移植の保険適応条件として「親知らずや埋伏歯を移植歯とする場合」とあり、
すでに欠損になってしまっている部分への移植でなければ通常保険適応となります。
移植時に再生療法製剤や人工骨を使用した場合は保険適応外となりますので、
ご相談が必要となります。
- 歯牙移植では「歯根膜」が残る
「歯根膜」があることで
・歯周組織を再生する能力がある
・感覚受容器として咬合のコントロールができる(いわゆる噛み応え)
・将来矯正により移植歯の移動が可能
この「歯根膜」の存在はインプラント治療にはない大きなメリットだと考えております。
インプラント治療の場合、歯周組織のダメージの程度によっては人工の骨などで場所を作ったり、
歯肉移植によって他部位から歯肉を持ってきたりが必要となります。
しかし歯根膜の持つ再生機能により歯周組織全体の回復が期待できます。
また感覚受容器の働きにより過度な噛み合わせに対してのコントロールが働き、
「噛み応え」として大きな役割を発揮します。
また筆者が1番のメリットと感じているのは移植後、
将来的に移植歯を移動できるという点です。
インプラントと違い、若年時から歯牙移植は手術可能となりますが、
患者さんが将来矯正を考えたときにインプラント治療を行った症例に比べ、
治療の選択肢が狭まれないのは患者さんにとって大きなメリットだと考えています。
今回は歯牙移植のメリットに焦点を当てお話しました。
次回は従来の歯牙移植と比べたデジタル歯牙移植のメリットについて書いていきたいと思います。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・