奥歯のない入歯に大切なもの 下顎編 レトロモラーパッド 症例
こんにちは!ハートフル歯科総合グループ小坂井 竜也です。
入れ歯で噛むと痛い!という患者さんの訴えは残念ながら日常的に見られます。
その原因は本当に多岐に渡るのですが、原因を診断し、解決に導くのが我々歯科医師の仕事なのです。
その中で特に多い下の入れ歯が噛むと痛い!というケースを実例を踏まえてお話ししていこうと思います。
今回のケースは、何度調整しても入れ歯で噛むと痛いからなんとかしてほしい患者さんです。
まずは、口の中をチェックします。やや歯肉に傷が見られました。
入れ歯を入れて痛みがないかチェックをしましたが、問題ありませんでした。
次には噛み合わせからチェックして大きな問題はなかったです。
中の適合を見ても問題なさそうでした。
安易に、じゃあ、傷があるところを入れ歯を削ってみよう!となりがちですが、
実は非常に危険な選択なのです!
入れ歯の適合には問題がないことはわかっています。
この時点で入れ歯を安易に削るという選択はなくなっているはずなのです。
まだ痛みの原因がわからないので、もう少し検査を進めます。
患者さんのお話を聞くと、噛んで痛い方が高い気がするとのことでした。
あれ?噛み合わせは問題ないはずなのに・・・ここで疑問が出てきます。
次は入れ歯の形をチェックします。
あれ?ちょっと入れ歯の後ろが短いかも!(画像がないのが惜しいです・・)
ここで、入れ歯を押して見ると、沈み込んで患者さんも痛みを訴えました!
これで答えが導かれました!
入れ歯が小さいことによる、入れ歯の沈みこみが原因で歯肉が傷ついて痛かったのです。
入れ歯が沈み込むことによって、噛み合わせはたわんでしまい、正確な情報がわかりません。
入れ歯の内面も同じことが言えます。
この状態で、入れ歯をさらに削りこんでも症状は改善しないどころか、適合不良となり
もっと痛みを生じてしまう可能性もあるのです。
だから、むやみやたらに削るのではなく、痛みに対してしっかり診断する必要があるのです。
根拠のある治療を行わないと患者さんを陥れることになりかねません。
では具体的な解決策の話をしていきます。
今回は、入れ歯の沈み込みを防ぐため、レトロモラーパッドを覆うように、入れ歯の後ろを大きく広げました。
レトロモラーパッドに関しては、前回のブログにてお話ししていますので、一読いただければと思います。
入れ歯の大きさが不足部分を足した後です。
口の中です。
ここを覆うことによって、押しても沈み込みがかなり抑えられました!
沈み込みが抑えられることによって、噛み合わせも高いことがわかり調整したら痛みも消えました。
内面の適合も、やや大きいところがあったので、調整ができました。
いずれも、沈み込みがあった状態では問題ないと判断された箇所です。
沈み込み一つでこうも変わってしまうのです。
私は、部分入れ歯の場合は最大の敵は沈み込みだと思っており、基本的に総入れ歯より小さくなるケースが多いです。
このため、下の入れ歯で噛んで問題になることが多いので、解決策の一つとして今回のお話をさせていただきました。
やはり、しっかり診断して、根拠のある治療をしていく。
これは他の治療全般に言えることですね!
入れ歯の痛みにお困りの方は、お気軽にご相談ください。
全ては患者さんのために!