歯牙移植症例集2022⑨〜診断編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回から歯牙移植症例集2022⑨と題して歯牙移植についてお話をさせていただいております。
前回は〜準備編〜として
歯牙移植のご提案までをお話させていただきました。
前回のブログはこちら
歯牙移植症例集2022⑨〜準備編〜
今回は診断編。
実際のお口の中の状態から歯牙移植のプランを考えていきます。
それでは前回のあらすじから
患者さんは右下の奥歯に噛むと痛みがあるという30代男性。
右下6番目の奥歯が保存不可能となり、抜歯適応となっています。
ここで歯牙移植を提案。
お口の中には水平埋伏歯のみが移植歯の候補としてありました。
埋伏歯の移植歯への選択は歯根膜の機能が弱まっていることが懸念されため、
保険適応の歯牙移植ではなく、自由診療での歯牙移植をご提案させていただきました。
当院での自由診療による歯牙移植とは
・歯牙レプリカを使用したなるべく骨を削らない手術
・歯周再生療法を併用した歯根膜の再生を促す手術
・保険適応外の精密根管治療
・セラミック治療での被せ物
になります。
それぞれの特徴については以前のブログを見ていただければと思います。
「歯牙移植の成功率を1%でも上げるために行う5つのポイント」前・後編 Youtubeリンク第3弾
お口の中の状態に戻ります。
保存不可能な歯がこちら
レントゲンで見ると根尖に大きな透過像があるのが確認できます。
歯間の幅はおよそ10.7mm
別の断面から確認をすると、
骨の厚みはおよそ10.0mm。
下顎骨の中を通る下歯槽神経までの距離は
およそ19.4mm。3mmのセーフティーラインを引いても
16mmの深さがあります。
要はこの
10.7×10.0×16.0の枠の中に親知らずが入れは移植適応となります。
次に移植候補の水平埋伏歯の計測です。
親知らずの歯の頭のサイズは
10.3×10.2mm
歯根の長さは
10.9mm
円錐形の歯の形をしているため、先ほど計測した歯の頭の最大豊隆部よりも
少し下まで切断して移植歯として利用すれば、十分移植可能だろうと判断しました。
後は当日親知らず摘出時になるべく歯根に負担をかけないよう、迅速に摘出するだけです。
次回は〜手術編〜
実際の手術についてお話していきます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・