こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

前回は歯牙移植症例集②〜手術編〜として歯牙移植手術までお話させていただきました。

前回までのブログはこちら

(歯牙移植症例集2022②〜準備編〜 https://heartful-konkan.com/blog/20845

(歯牙移植症例集2022②〜手術編〜 https://heartful-konkan.com/blog/20853

 

歯牙移植時に縫合による固定と医療用接着剤による固定の二重固定を行っております。

医院によってはもう少し期間の少ない医院、期間の長い医院もあるかと思いますし、

固定の仕方も医院により様々なので、

担当する歯科医師に治療期間等はご相談していただければと思います。

歯牙移植後、固定期間のまま4週間経過をみます。

この4週間の間に歯根膜の再生を待ちます。

 

術後1週間後に固定用接着剤の脱離や縫合糸のほつれがないかどうかの確認に消毒と合わせて来ていただきます。

術後の注意事項として1週間の患部の歯ブラシを禁止しておりますので、

1週間後の消毒時に歯ブラシを再開していい状態かのチェックも行います。

歯ブラシを再開といっても医療用接着剤の上からの歯ブラシなので、

細かいところまでのケアは我慢してもらいます。

極力柔らかいブラシを使用してもらい、できる範囲でのケアをお願いしております。

 

固定を除去し、根管治療へと移行します。

これは移植による移植歯の口腔外への摘出により移植歯の神経が死んでしまうからです。死んでしまったまま放置をすれば周囲の組織に毒素を出してしまい、結果として移植失敗になりかねません。ほとんどのケースで歯牙移植後の根管治療は必要です。

今回のケースでは、移植の前に根管治療を行い、根管内に消毒のお薬(水酸化カルシウム)を入れた状態で移植を行なったため、固定除去後に歯茎の回復を待って根管充填(お薬を詰める)を行いました。

 

根管治療後、動揺もなく、歯茎も落ち着いてきたために、最終的な被せ物へと移行しました。

骨の幅や、隣在歯との距離の関係から、斜めに移植した移植歯ですが、最終的な被せ物で、ケアのしやすい状態に回復することができました。

 

患者さんも隣在歯を傷つけることなく噛めるように歯が入ったことに大変喜ばれ、

きっと大事にこの歯を守ってくれることでしょう。

 

今回のように、親知らず以外の歯を移植歯として使用することもありますが、保険適応にはなりませんので、実際に行える状況なのかも含めて歯科医師と相談する必要があると思います。

 

次回は経過編として今回の歯牙移植におけるポイントや治療期間などについて詳しくお話しできればと思います。

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科