歯牙移植症例集2022②〜手術編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回は歯牙移植症例集②〜準備編〜として歯牙移植手術の術前診査までお話させていただきました。
(前回のブログはこちら歯牙移植症例集2022②〜準備編〜
https://heartful-konkan.com/blog/20845)
前回の事前シミュレーションをイメージしながら歯牙移植を行っていきます。
これが術前の状態です。
欠損になった状態でしばらく時間が経過しているようで、
頬側の骨が痩せているのがお分かりになりますでしょうか。
頬側の粘膜は薄く、インプラント治療を行う場合にはおそらく歯肉移植も
併用しての治療計画でないと術後の清掃が難しいことが予想されます。
移植床の骨表面はシミュレーションソフトの状態から斜めになっているのが
わかると思います。
板にネジを植え込むのと同様、斜めにドリルを進めるのは滑ってしまい、
正しい方向にドリルを進めることはできません。
そのため、サージカルガイドを使用し、ドリルがシミュレーションした通りに
掘り進められるように手術を進めていきます。
予定通りの移植床の形成が終わったら、
歯牙レプリカを試適していきます。
しっかりフィットしていることがお分かりいただけますでしょうか?
歯牙レプリカの入りが甘い場合には、試適しては再度形成、試適しては再度調整を繰り返します。
その後ドナー歯の摘出を行います。
これが実際のドナー歯と歯牙レプリカとの比較です。
再現性が高いのがわかると思います。
歯牙レプリカを使用するメリットは以前のブログでも紹介させていただいておりますので、
是非そちらを見ていただければ幸いです。
(歯牙レプリカを使用するメリットとは https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/16554 )
ドナー歯を移植床に試適してしっかり入っていることを確認します。
親知らずをドナー歯として使用するよりも歯根が小さいため、
歯根表面積が少ないので術後の生着が不安視されます。
そのため、歯根表面に歯周病治療等でも使用されるエムドゲインという
再生療法の薬を塗布して移植部位の再生を促します。
移植床にドナー歯を移植していきます。
ドナー歯が抜けてしまわないように縫合して固定します。
その上から創傷面の保護と隣在歯への固定を目的として医療用の接着剤で覆い、移植手術終了です。
手術時間はおよそ60分前後となります。
この後4週間の固定期間の後にドナー歯の根管治療へと移行します。
移植治療があなたにとって最善の治療かは分かりませんが、
隣在歯を削らない、ご自身の歯を保存する治療としてはお勧めできる治療だと私は考えます。
次回は移植後の治療について〜治療編〜としてお話しさせていただきます。
もし歯を抜かなければならないと宣告され、治療に迷っていらっしゃるなら、
歯牙移植も一度検討されてみてはいかがでしょうか?
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・