こんにちは。

ハートフル歯科のドクターM

本山です。

今回は、「歯肉にできたおできのようなものから膿がでました」ということで、瘻孔のお話になります。

専門的には、sinus tract(サイナストラクト)と呼ばれます。

サイナストラクトとは体内と体外との間、または管腔臓器間に生じる異常な管状の欠損のことを言います。

ドイツ語由来の「フィステル」か、日本語で「瘻孔(ろうこう)」とも表現されることがあります。

根尖性歯周炎で生じた膿が根尖部歯肉にsinus tractを作り、膿瘍内の圧が下がり、急性症状がなくなると慢性化すると言われています。このような場合には、排膿と自然閉鎖を繰り返すことが特徴です。

今回の症例における患者様との問診の内容です。

冷たいものを食べたり飲んだりすると、歯がしみるようになってきた…

歯科医院で診察してもらったところ、

「むし歯など異常な所見は見当たらないので経過観察しましょう。」と言われて、しばらく様子をみながら過ごしていた…

ところが、ある日のことです。

「あれっ?気づけば痛みがなくなったような……」

それから数日後、歯肉が腫れて膿のようなものが出てきた。

このようなお話は、患者様と問診しているとよく耳にすることがあります。

まず最初に、歯がしみるということはどういうことなのでしょうか?

歯の一番外側のエナメル質からその内側の象牙質に、細菌が達していると考えられます。

象牙質はエナメル質と比較してやわらかく、象牙細管(ぞうげさいかん)という細い管が歯髄に向かって無数に走っている構造をしています。

冷たいものや温かいものを食べた時、もしくは歯みがきや冷風などの刺激が象牙質から象牙細管に伝わると、歯髄を刺激します。

これが最初の痛みです。

さらに細菌は象牙質から直接歯髄を侵していきます。

何もしなくてもズキズキと痛みを感じるようになります。

そして、さらに進行すると歯髄が死んで腐っていきます。

歯髄は神経としての機能を働かせることができなくなり、痛み自体を感じなくなってしまうというわけです。厄介なのは、さらにここからです。

痛みが消えている間も細菌は増殖を続け、組織を侵食していきます。

歯髄の先にある歯の根の先端までじわじわと進み、その先にある歯槽骨にまで進んでいきます。骨は細菌の毒素に溶かされて、そこに炎症によって生じた膿がたまります。化膿している状態ですね。膿は出口がないため、袋状にどんどんたまり、周囲の骨や組織を圧迫します。骨には神経があるため、圧迫されると骨折をした時と同じような激しい痛みを感じるようになります。膿の袋はどんどん大きくなり、ひどくなると顎の辺りまで大きく腫れてしまいます。

ここで一つ誤解しないで下さいね。

しみたりしたら、すぐに神経治療しなければいけないというわけではありません。

((;゜Д゜)ガクガクブルブル

痛みの持続が続くようであれば、神経治療せざるを得ない場合もあります。

まずは担当ドクターの診断に従い、適切な治療を受けるようにして下さい。

症例です。

33才 女性

右上4番

主訴は、先程の問診における内容になります。

この患者様の歯には銀歯の詰め物が装着されていました。レントゲン上には、一見むし歯のようなものはありませんでした。もしかしたら、銀歯側ではない近心側からのマイクロクラックというヒビが原因でそこから細菌が侵入したのかもしれません。

マイクロクラックはCTやデンタル、パノラマなどのレントゲンには写らないため発見は困難と言えます。この場合は、マイクロスコープによる視認が必要になります。

術前レントゲン写真です。

根の長さをレントゲンにて確認しています。

痛みや腫れ、sinus tractも消失していましたので、根管充填を行いました。

常に感じることは、診断の重要性です。

いつ、どのタイミングで治療介入するべきか….

臨床経験が問われるような気がします。

歯を残すために臨床経験豊富なドクターが、ハートフル歯科には在籍しております。

是非一度ご相談下さい♪( ´▽`)

今日も一日頑張りましょう!

“すべては患者様の笑顔のために”

今後ともよろしくお願い致します。

本山 直樹

医療法人社団徹心会ハートフル歯科