歯牙移植症例集2023⑤〜最終補綴編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回は歯牙移植症例集2023⑤というテーマで歯牙移植の症例をお伝えしております。
前回は〜根管治療編〜として移植歯の根管治療についてお話しました。
詳しくは前回までのブログをご覧ください。
https://heartful-konkan.com/blog/23110
https://heartful-konkan.com/blog/23130
https://heartful-konkan.com/blog/23133
今回は〜最終補綴編〜
いよいよラストです。被せ物まで入ります。
それでは前回のあらすじから
患者さんは右上の奥歯が腫れたとのことでご来院いただいた40代の男性。
術前のレントゲンでも歯根を取り囲むほどの影ができているのがわかります。
歯牙移植に先立ち、保存不可能歯の抜歯を行い、
抜歯後6週間、歯肉の治りを待ち、歯牙移植へと移行します。
切開剥離を行い、抜歯窩(抜いた穴)に入り込んだ歯肉をきれいに整え、
移植歯を植立、縫合固定と医療用接着剤の二重固定を行います。
術後4週間経ち、固定を除去した状態がこちら
水酸化カルシウム療法の後に根管充填した状態がこちら
ここまでが前回までの流れです。
根管治療後の歯にヒビが入りにくいよう、グラスファイバーの土台を立て、
被せ物が入るために形を整えて、
銀歯を被せて終了です。
移植をしてから3年が経とうとしておりますが、
今まで一度も腫れたことはなく、揺れもなく経過良好でいらっしゃいます。
患者さんご自身もこの歯を含めて長くお口の中の環境が維持できるよう、
定期検診には必ずいらっしゃっていただいております。
抜歯をした後に、歯牙移植ができないかの相談を受けられたことが
今に繋がっています。
患者さんをつなげてくれた先生に感謝をしつつ、引き続き経過を見ていきたいと思います。
私自身歯牙移植の治療を始めてまだ4年程、症例数としては約60症例。
約月1本ペースで歯牙移植を担当させていただいております。
C T診断、移植手術、固定除去からの根管治療、被せ物の治療
歯牙移植はやること盛りだくさんの治療のため、一度に多くの患者さんを見ることができず、
オペの時期を少しずらしたりと、患者さんには大変ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。
すべての歯に1%でも高い成功率で万全の体制で歯牙移植が行えるよう努めておりますので
何卒ご理解いただけますことをよろしくお願い申し上げます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・
*保険診療で歯牙移植を行う場合下記項目が必要です。
・移植ができる健康な親知らずがあること
・抜歯から移植まで同一の医院であること
それ以外のケースや親知らずを移植歯としない場合は自由診療での歯牙移植となり、当院では24万円〜でご案内しております。
今回のケースの場合、親知らずを移植歯とし、抜歯時から対応をさせてもらいました。
治療期間としては抜歯から被せ物まで約3ヶ月。
移植を行う上でのリスクは以下のとおりです。
・移植の成功率は85%前後
・移植歯の抜歯時における歯根破折などにより手術中止の可能性がある
・生着しなかった場合は移植歯が感染源となり得るので抜歯をしなければならないことがある
・高血圧や糖尿病などがコントロールされていない場合は適応外となることがある
移植が適応になるかは細かな診断が必要となるので、抜歯をしてしまう前にご相談ください。