こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

前回から歯牙移植症例集2023③というテーマで歯牙移植の症例をお伝えしております。

 

ルートセパレーション(歯根分離)をして悪くなった歯根をなんとか残そうと

被せ物を入れていたが、歯根破折により残った歯根に破折が起こってしまった50代女性。

なるべく歯を残したい、患者さんの強い希望により、

右上の埋伏した親知らずを移植する計画を立案しました。

 

前回までのあらすじから。

詳しくは前回までのブログをご覧ください。

歯牙移植症例集2023③〜導入編〜

歯牙移植症例集2023③〜手術編前編〜

歯牙移植症例集2023③〜手術編後編〜

まず右上の親知らずの脱臼に入ります。

続いて移植床の形成に移ります。

メスで切開を行い、

丁寧に剥離していきます。

保存不可能歯の抜歯

歯牙レプリカを試適しながら、干渉する場所を確認し、シミュレーション通りの移植床を作ります。

移植床の形成が完了した状態がこちら

移植床形成の際に採取した自家骨と、再生療法のエムドゲインを混和したものを

移植歯根とともに填入し

縫合固定&医療用接着剤により隣在歯固定を行って移植終了。

 

ここまでが前回までのあらすじです。

 

 

今回は〜根管治療編〜

固定除去から根管治療までをお話ししていきます。

4週間後の固定除去した状態がこちら

固定除去前の写真がないのが申し訳ありません。

しかし固定除去した状態は経過良好。

 

歯肉の凸凹はありますが、歯肉の色もピンク色で、動揺も心配するほどものものはありません。

問題は歯の向きだけといったところでしょうか。

 

噛んだ時の状態も、上の歯に比べて外に張り出してしまっています。

ひとまず必要なことは根管治療となります。

歯根完成歯の場合、移植後根管治療を行わなければ、根尖性歯周炎を起こし、

せっかく生着した歯周組織が破壊され、骨吸収を生じてしまいます。

 

移植後4週間で動揺もさほどないことから、

ラバーダム防湿下で根管治療を開始しました。

水酸化カルシウムというお薬を貼薬し、4週間ほど待った後に根管充填を行い、

根管内を緊密に閉鎖しました。

ここまで順調!

後は頬側に傾いた移植歯を起こす作業だけです!

 

次回は〜矯正治療開始編〜

移植歯に矯正器具を取り付けていきます。

 

保存不可能と言われた場合、

もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません

抜いてしまうその前に一度ご相談ください。

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科