こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

前回から歯牙移植症例集2023①というタイトルで6回に分けてお送りしていきます。

もしブログを読んでいただき、「自分には歯牙移植が適応になるのだろうか?」

そう思われることがあればぜひ抜歯をしてしまう前にご相談してみてください。

今回は4つ目〜手術編後編〜

前回のブログはこちらからご覧ください。

歯牙移植症例集2023①〜導入編〜

歯牙移植症例集2023①〜準備編〜

歯牙移植症例集2023①〜手術編前編〜

それではあらすじから

70代の女性の患者さん。

レントゲン検査により右下7番目の奥歯の歯根に大きなむし歯があり、

根管治療を行なっても保存ができそうになく、

奥の親知らずを抜歯して手前の7番部分に移植する計画を立てました。

まず保存不可能歯を愛護的に抜歯します。

炎症性の組織が残らないようにしっかりと掻爬します。

歯牙レプリカを試適し、移植床の調整がどの程度必要なのかチェックを行います。

ここまでが前回までの流れです。

続いて移植床の形成に入るのですが、今回のように移植床の方向へ傾いた移植歯が存在する場合、

それが邪魔で形成ができません。

先程、歯牙レプリカを試適したときに移植床の大きな形成はいらないという判断から先に

移植歯の抜去を行い、移植床形成を行う手順でオペを行いました。

移植床形成に時間がかかることが予想される場合は移植歯抜去の順番はやはり最後に持っていき、

できる限り移植床形成を行った上で移植歯の抜去をし、微調整という流れが望ましいと思います。

この辺は現場判断となるため、移植の経験数が重要になってくるのでしょうか。

保存不可能歯同様、愛護的な抜歯を行います。

移植歯につく歯根膜が過度な力によって剥離しないためです。

移植歯の抜去が済んだら速やかに移植床の形成に移ります。

移植歯を試適します。

 

 

移植床にしっかり入るのが確認できたら、

移植歯を入れる向きを確認しておきます。

歯根表面に歯根膜の再生を促す目的としてエムドゲインを塗布し、

移植していきます。

移植後、縫合固定と医療用接着剤による二重固定で移植手術の終了です。

この状態で4週間の固定期間としております。

4週間後の固定除去までに生着しているか

これは祈るのみです。

過度なブラッシング、飛行機やダイビングなどの急激な気圧の変化、

硬いものを噛むなど、移植床や移植歯に負担のかからない生活を送るように心がけてもらっております。

次回は〜固定除去編〜

固定除去から根管治療までをお話していきます。

保存不可能と言われた場合、

もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません

抜いてしまうその前に一度ご相談ください。

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科