歯牙移植症例集2023①〜導入編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
新年あけましておめでとうございます。
本年もできる限り情報発信を続けていきたいと思いますので
何卒よろしくお願い申し上げます。
2023年1発目は、やはり「歯牙移植」。
70代の患者さんにおこなった再生療法を利用した歯牙移植についてお話していきたいと思います。
今回から歯牙移植症例集2023①というタイトルで6回に分けてお送りしていきます。
もしブログを読んでいただき、「自分には歯牙移植が適応になるのだろうか?」
そう思われることがあればぜひ抜歯をしてしまう前にご相談してみてください。
今回は〜導入編〜
患者さんは右下の奥歯に物が詰まって腫れて痛いという訴えをお持ちの70代の女性の患者さん。
レントゲン検査により右下7番目の奥歯の歯根に大きなむし歯があり、
根管治療を行なっても保存ができそうになく、抜歯が妥当だとお話をしました。
むし歯による保存不可能歯の場合、歯周組織へのダメージが最小限な場合が多く、
親知らずのサイズさえ見合えば移植可能となることが多いです。
今回のケースもむし歯になった場所がよくなかっただけで、歯周組織に問題はありません。
奥の親知らずのサイズも該当箇所に収まりそうです。
しかし70歳というご年齢もあり、移植歯(親知らず)がアンキローシス(骨性癒着)により
抜歯時に歯根破折をしてしまう可能性や無事に抜けたとしても移植歯に纏っている
歯根膜の廃用萎縮が考えられ、移植後の生着率(成功率)が下がってしまう恐れがありました。
そういったリスクに対しては十分ご説明をし、
歯根膜の廃用萎縮の可能性についてはエムドゲインという再生療法のお薬を併用して
手術を行う計画を立てました。
エムドゲインは「エナメルマトリックス」というタンパク質を利用し、
選択的に必要な細胞の分化、成長促進を促すためのもの。
今回の場合は移植歯歯根面の歯根膜の再生を促すためのものとしてご提案させていただきました。
患者さんご自身もこの歳でインプラント治療はやりたくないし、
自分の歯を残せるならと聞きなれない治療に、何度か治療相談を重ねながら、
歯牙移植を行う選択をされました。
次回は〜準備編〜
歯牙移植を行うまでに準備している裏側についてお話していきます。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・