こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

歯牙移植症例集2022の第9弾としてお話をしておりますが、

今回は〜固定除去編〜

 

前回移植手術を行った術後の流れについてお話していきます。

 

前回までのブログはこちらからご覧ください。

歯牙移植症例集2022⑨〜準備編〜

歯牙移植症例集2022⑨〜準備編〜

歯牙移植症例集2022⑨〜診断編〜

歯牙移植症例集2022⑨〜診断編〜

歯牙移植症例集2022⑨〜手術編〜

歯牙移植症例集2022⑨〜手術編〜

 

それでは前回のあらすじから

 

患者さんは右下の奥歯に噛むと痛みがあるという30代男性。

右下6番の保存不可能歯の場所へ

左下の水平埋伏の親知らずを移植します。

 

まずは術前の写真がこちら

保存不可能歯の抜歯をして

レプリカを試適しながら移植床の形成を行います。

左下から埋伏した親知らずを摘出し、再生療法のお薬を塗布して

移植床へ移植します。

縫合固定、医療用接着剤での固定をしたら手術終了です。

 

ここまでが前回の〜手術編〜。

今回はここからの術後の経過のお話です。

 

移植後1週間の状態がこちら

 

医療用接着剤により移植歯の全貌は見えませんが、

隣在歯への固定はしっかりと効いている為、揺れはありません。

このとき揺れがあれば固定を追加、

固定が対合の噛み合う歯に当たってしまっていれば削合、

縫合糸や固定剤が尖って痛い場合は研磨で丸める

などを行い、残り3週間をなるべくストレスが少ない状態で過ごしてもらいます。

 

そして術後4週間の状態がこちら

固定を外した状態がこちら

固定を外すとまだ歯肉が凸凹していたり、

出血しやすい状態があります。

しかし動揺はありません。

 

この4週間は歯肉の治りや引き締まりよりも移植歯の生着に

重きを置いていたため、歯肉の凸凹や出血はそれほど気にしません。

 

今回のケースでは埋伏歯の抜歯時に歯冠部(歯の頭)を分割したため

露出した神経をあらかじめできるだけ除去しておりましたので、

次回以降の根管治療時までに細菌が入らないように消毒のお薬を入れ仮蓋しておきます。

 

残っている歯根がやや歯肉より下のため、ケースによっては術後にエクストリュージョン

を併用して歯根を挺出して歯の保存を図ることもあります。

 

この辺はインプラント治療にはできない歯牙移植の良さだと思います。

 

今回は根管治療を行いながら歯肉の落ち着きと、移植歯の自然挺出も考えながら

必要であればエクストリュージョンを追加していく方針で進めることになりました。

 

次回は〜最終補綴編〜

根管治療後の被せ物までをお話していきます。

 

保存不可能と言われた場合、

もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません

抜いてしまうその前に一度ご相談ください。

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科