こんにちは!ハートフル歯科 歯科医師 小坂井 竜也です。

 

今回は前回の症例の後半になります。

前回は膿んだ歯を抜いて、感染の原因である根っこの先ををカットし、MTAセメントを充填しました。また、抜いた穴には膿の袋が残っているので、きっちり除去しました。

外科的根管治療 状態の悪い歯を残す!③実際の症例⑴

今回は、その歯を抜歯した穴に少し浮かせた状態で戻す【外科的挺出】を行なっていきます。

この処置の考え方はとても簡単で、単に抜いた後、歯肉の上に歯質が出てくるように浮かせるだけです。

これは歯根膜、歯を支えている組織の再生力の強さに依存するのであまり多用はしないのですが、実際、かなり有効とのエビデンスのある治療になります。工夫して歯を180度回転させて歯を戻しても問題ないこともあります。

今回は、回転はさせず、やや歯を浮かせた状態で固定しました。

画像から、歯肉の上に歯を作れている状態なのがわかりますね。

この後、特殊なボンドで固定していきます。

3週間後に固定を外して、状態を見ていきます。

術後のレントゲンの状態もまずまずです。

ただし、根っこが短くなってしまう点はやはり避けられないですね・・・

3週間後、経過は非常に良さそうです。

なんとこの段階で動揺がかなりおさまっていました!

このような状態になれば、土台をたてなおして歯肉が整うことを待ちます。

この後仮歯を入れて様子を見ていきました!

ここではあまり強く噛ませないよう慎重に調整します。

理由は、歯肉や骨が治癒していくのは3ヶ月前後かかってまうからです。

治りかけのときに噛み込んでしまうと、脱臼の状態になり、最悪抜歯になってしまいます。

この仮歯のまま一ヶ月まちました!

この後チェックをして、歯の動揺もほぼ無くなりましたので、セラミックを最終的に被せていきます。

歯肉に圧排糸をしっかり巻いて、きれいにセラミックを接着していきます。

ばっちり圧排糸が巻けています!

そうして、通法通りセラミックを接着していきました。

これが術後当日です。

一ヵ月後、動揺もなく違和感なく食事もできているとのことです。

レントゲンの所見になります。

左が術前、右がセラミックを入れて一ヶ月後です!

ここまでの経過が3ヶ月の隔たりがあり、まずまずの改善に思われます。

以上になります!

今回は条件が悪いものの、今のところは歯として機能してくれているようです!

患者さんも喜んで下さってなによりでした!

しかし、根っこが短いという欠点はどうしても付いて回ります。

今後、破折等のリスクがあるので、メンテナンス時の経過を追っていくことが最も大切なことになります。

歯科医師にとっても、患者さんにとっても「治療してからが、新たなスタート」と私は強くおもいます!

今回は、外科的根管治療の意図的再植及び外科的挺出を用いて、なんとか歯の延命を図ったお話でした。

この患者さんのように、

状態が悪く、歯を抜かなくてはならないと言われた、何度も被せ物が取れてしまうなどでお困りの方はお気軽にご相談ください。

全ては、患者さんのために!

 

医療法人社団徹心会ハートフル歯科