外科的根管治療 状態の悪い歯を残す!③実際の症例⑴
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 歯科医師小坂井竜也です。
前回までは根っこの膿が大きく、歯肉の上に歯がない状態の
治療方法の紹介や診断の説明をお話していきました。
今回は実際症例を追っていきます。
まずは、通常の根管治療を行いました!
(ラバーダムがかからないので、防湿はZOOで代用しました。)
古い根っこの薬を取り、根っこの中を綺麗にしたのち、新しいお薬を入れました。(画像のピンクのもの)
レントゲンもこのような状態です。やや根っこの先端からお薬が出ていますが、ここは先の治療でカットする部分だから良しとします。
そして、次回は今回の要点である【意図的再殖】と【意図的挺出】のコンビネーションの治療になります。
まずは、一度抜くときに歯が割れないように土台を立てておきます。(今回はファイバーコア)
麻酔をして歯を抜きます。
この時、実は土台が取れてしまいました・・・
歯肉の上に歯がないと被せ物による抱え込み効果(フェルール効果)が発揮できず、土台ごと外れやすいのですが、今回の抜歯の件ではその典型的な結果となりました。
歯を掴む道具(鉗子)でつかんで歯を抜いていくのですが、結局、土台だけで歯自体を抱え込めないのでこのような結果になったと思われます。
しかし、幸い歯自体は割れたりしなかったため、治療は続行しました。
次は、歯の根っこの先を2mmほどカットします。
この先端にはとても細かい枝分かれした管が無数に存在します。
これを側枝といい、通常の根幹治療では掃除しきれないことが多く、病巣の再発はここからの再感染が原因になることが多いのです。
この側枝のある部分を直接カットしてしまおう!というのがこの治療の一つ目の意義です。そうして、カットした根管の先にMTAセメントを充填していきます。
そうしてカットした根管にMTAセメントが入りました。
この歯は乾燥させないように生理食塩水に浸しておきます。
次は速やかに、抜いた穴の中の残っている膿みの塊を取り除いていきます。
出血が出ておりますので、白黒の画像になります。
歯を抜いた奥の方には膿が残っていることが多く、直接、取り除くことができるのです。
実際はかなり膿の塊(嚢胞)がとれてきており、通常の根っこの治療では治せないな・・・と思ってしまいました。
この点からも外科的根幹治療は必須のスキルだな、と感じてしまいます。
長くなりましたので、今回はここまでです。
次回は、続きのお話になります。
すべては患者さんのために!