こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今月はシリーズ化して入れ歯のお話をさせていただいていますが、
今回は入れ歯の話第3弾。「デジタルコピーデンチャー」についてお話させていただきます。
前回までで「コピーデンチャー(複製義歯)って知っていますか」、「コピーデンチャーのメリット」についてお話させていただきました。
今回からはそのコピーデンチャーのデジタル化についてお話させていただきます。
以前のブログ
「コピーデンチャー(複製義歯)って知っていますか」はこちら
https://heartful-konkan.com/blog/14924
「コピーデンチャー(複製義歯)のメリット」はこちら
https://heartful-konkan.com/blog/14993

デジタルコピーデンチャーは光学スキャナーを用いて入れ歯を撮影し、3Dプリンターに出力することで作るコピーデンチャーのことをいいます。(私が勝手に名付けました・・・。)

現在使っている入れ歯をお借りし、光学スキャナーで撮影をする

3Dプリンターで出力する

お口の中に入れた状態

従来のコピーデンチャーの製作法で考えれば、
型取り材(アルジネート)の重合収縮、レジン(コピーデンチャーの主成分)の重合収縮があり、総入れ歯の場合使用する型取り材、レジン量が多いためそれなりに考えなくてはなりません。
一方デジタルコピーデンチャーの場合、型取りはデジタルのため、収縮変形を起こすことはありませんし、3Dプリンターの再現性は他のサージカルガイドや仮歯、歯牙レプリカでも困らないほどの精度を誇っているため、コピーデンチャーにしても精度に関しては実際に使用して問題ないと感じています。
3Dプリンターで出力した後の工程は従来の方法と変わりません。
デジタルコピーデンチャーを口腔内で調整し、これでという状態になったら完成義歯にしてもらう。この流れが一番誤差が少なく、再現性のある入れ歯ができるのではないかと私は思います。

今はまだ日本では材料の薬事が通っておらず、完成義歯を3Dプリンターで作ることや、デジタルで入れ歯を作ることは保険適応になりませんが、将来こういった治療法が確立してくれば、
・義歯を紛失、壊してしまった時に以前作ったデータからすぐ入れ歯を作ることもできる。
(通常は最初の型取りからやり直し)
・定期的に新しい入れ歯に取り替えることで高齢者の方の、古い入れ歯の雑菌が原因となる誤嚥性肺炎の予防につながる
・寝たきりで往診が必要な患者さんの入れ歯の製作が容易(型取りの負担がデジタルの型取りにより軽減される)
こういった治療の進歩が、患者さんのより安全で清潔な生活につながるのではないかと期待しております。

完成義歯までとなるとまだまだ先の話になりそうですが、完成義歯を作るためのツールとしては十分な役割を果たせるものではないかと考えております。

入れ歯で悩まれている方是非ご相談ください。

次回は実際にデジタルコピーデンチャーの治療の流れについてご紹介します。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科