エクストリュージョン症例集2022③〜矯正実践編〜
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回からエクストリュージョン症例集2022と題して歯根挺出術の治療の流れを
ご紹介させていただいております。
前回は〜準備編〜としてエクストリュージョンを計画するところまでお話しました。
以前のブログはこちらから
エクストリュージョン症例集2022③〜準備編〜
今回は〜矯正実践編〜
今回から矯正器具をつけて垂直的に歯根を挺出していきます。
前回の写真がこちら
歯肉縁まで歯質が失っているのがわかります。
歯を引っ張るフックを歯根につけ、
隣在歯にはなるべく目立たないようにワイヤーを接着します。
フックとワイヤーを矯正用のゴムで結紮したら
矯正治療の開始です。
初回は引っ張る歯根がしっかりしているため、矯正用ゴムの方が切れてしまうこともありますので、
ゴムを2〜3重に結んでおります。
この状態で4週間に一度ゴム交換をおこなっております。
矯正治療中は歯間ブラシやデンタルフロスは通らないため、できる限りのケアにとどめてもらって
おります。
無理して通そうとすると器具の破損につながりやすいため、
ゴム交換の時にこちらでケアをするので歯間ブラシやデンタルフロスは避けてもらい、
上から軽く磨く程度にしてもらいます。
4週間後の状態がこちら
少し歯が動いてきたでしょうか?
ゴムの色が少し黄ばんできています。
ゴムを一度除去して、新しいゴムに交換します。
この時にチェックする項目は歯が少し動揺しているかということ。
矯正をした経験がある方はわかるかと思いますが歯を動かしている時、
歯は少し動揺します。
ゴムを外したときに少し動揺があれば順調な証。
逆に揺れが全くない場合は矯正力が足りないか、固定源が弱いか
もしくは患歯がアンキローシス(骨性癒着)を起こしているか
を見直す必要があります。
・矯正力が足りない場合、ゴムではなくクローズドスプリング(金属のバネ)に切り替えをします。
・固定源が弱い場合、ワイヤーをつける歯を増やして固定源を強くします。
・患歯がアンキローシスを起こしている場合はクラウンレングスニングに切り替えます。
→クラウンレングスニングについては過去のブログをご参照ください
今回は順調に引っ張れているのが確認できたため、ゴム交換をしてさらに1クール(4週間)
置くこととしました。
4週間後(開始から8週間後)の状態がこちら
フックとワイヤーがくっついているのがお分かりになりますか?
術前と術後を比べてみると
〈術前〉
〈術後〉
ここまで引っ張れれば矯正治療は終了となります。
次回はエクストリュージョン症例集〜手術編〜
矯正後の流れについてご紹介します。
保存不可能と言われた場合、
もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません
抜いてしまうその前に一度ご相談ください。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・