歯肉を切って歯を保存する!? フェルール確保のためのクラウンレングスニングとは
こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回のシリーズは症例集ではなく、当院の「保存的治療」についてお話しさせていただいております。
前回は「フェルール確保が歯の長期保存に必要だということ」について
お話しさせていただきましたが、
今回からはフェルール確保のための3種類の治療法のそれぞれの特徴と注意すべき点について
お話させていただきます。
外科処置のため出血の場面もあるかと思いますのでご覧になる方はお気をつけください。
以前掲載したブログからの症例となりますので詳しくは以前のブログもお読みください。
それでは当院で行う3種類のフェルール確保の治療法についてご紹介します。
①歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
歯冠長延長術とは、歯肉の位置を切って下方に下げることにより、歯根歯質を露出させ、
フェルールを確保するというもの。
湾曲した歯根で、他の2つの方法が適応にならなかったり、複数歯にわたる歯のフェルール確保が
必要だったりするケースでは第1選択としてお話しております。
しかし、注意点としては
一つ目に「知覚過敏や根面カリエス」
クラウンレングスニングを行うと隣在歯が歯肉退縮を起こしてしまう可能性があります。
そのため、歯肉退縮による知覚過敏の症状や、根面カリエスに注意が必要になります。
二つ目に「審美性」
特に前歯部にクラウンレングスニングを行った場合、歯頸ライン(歯肉のライン)の不一致が
起こるため、審美性に欠けることが予想されます。(ページ上の写真参照)審美的な要素を
カバーするとしたら、左右対称にクラウンレングスニングを行う必要があると思います。
三つ目に「治療時間がかかる」
これはどの処置を選択しても時間はかかります。むしろエクストリュージョンや、
外科的挺出の方が術後の経過を見なければならない期間は長いと思っております。
それでもクラウンレングスニングも歯肉を切った後、健常な構造になるまでは時間がかかります。
仮歯を入れて歯肉の整いに努め、治りを待って補綴処置へと移行しましょう。
今回は歯冠延長術(クラウンレングスニング)についてのお話だけになってしまいましたが、
次回は残りのフェルール確保の治療法ついてお話したいと思います。
あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・