院内感染防止対策②-洗浄・消毒・滅菌-
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は前回からのブログの続きです。
院内感染防止対策における「洗浄・消毒・滅菌」について
書いていきたいと思います。
<洗浄>
洗浄の目的は、細菌数を減らして細菌毒素を除去することにあります。
歯科器材にはノンクリティカルな洗浄だけで十分なものがありますが、
一方でクリティカルな滅菌まで行わなければならない口腔外科器材もあります。
滅菌を確実に行うためにも洗浄は重要な作業になります。
洗浄が不十分である場合に有機物などが付着した器材をそのまま消毒薬に浸漬すると、
次亜塩素酸ナトリウムなど有機物に影響を受けやすい消毒薬は殺菌効果が著しく低下する恐れがあります。
当院では、ウォッシャーディスインフェクターや超短波洗浄など機械洗浄を中心に行っております。ウォッシャーディスインフェクターは水によるシャワーと洗浄剤により器材を洗浄する機械です。洗浄・消毒・乾燥を自動で行うことができるため、医療従事者の安全性の向上や作業性の効率化などが期待できます。超短波洗浄は、超短波による物理的作用により汚れを剥離して器材を洗浄する方法です。
<消毒>
当院では、ウォッシャーディスインフェクターによる熱水消毒を行っております。
熱水(65~100℃)は広範囲の微生物に対して有効であり、90~93℃(5~10分)の処理で芽胞以外の一般細菌やウィルスなどの微生物を感染可能水準以下に死滅または不活化できます。
ウォッシャーディスインフェクターは洗浄から熱水消毒90~93℃(5~10分)すすぎ、乾燥での工程を自動的に行う熱水消毒機です。ウォッシャーディスインフェクターによる熱水消毒は高水準消毒に分類されます。
-熱水消毒の特性-
❶消毒効果が確実
❷生体に無害
❸消毒後の残留物がない
❹経済的
❺排水公害がない
❻火傷以外は安全
<滅菌>
滅菌とは、全ての微生物を物理的・化学的手段を用いて殺滅させるか、完全に除去して無菌状態をつくることです。1個の微生物が生き残る確率が1/1,000,000以下であることが基準となります。温度・湿度・圧力と蒸気、エチレンオキサイドなどの濃度が微生物に致死的に働くように設定され、滅菌されるべき表面が十分な滅菌条件で維持されることです。そのためには、汚れなどのバイオバーデン(製品上の生育微生物数)は滅菌工程を不十分にするため、滅菌前に十分に洗浄されていることが条件となります。
当院では、高圧蒸気滅菌法(オートクレーブ)とエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌法を行っております。歯科で最も使用されている滅菌器はオートクレーブになります。
オートクレーブは、適当な温度と圧力の飽和水蒸気中で加熱することにより微生物を殺滅します。オートクレーブはチャンバー内に蒸気を送り込み加圧すると、高温の飽和水蒸気が被滅菌物と接触して大量の潜熱を放出して急激に加熱し発生した水分がタンパク凝固を促進して微生物を死滅させます。115~118℃(30分間)、121~124℃(15分間)、126~129℃(10分間)などが設定されております。
今回は2回に分けて院内感染防止対策について書いてきました。
当院においても基本的なルールを遵守して院内感染防止に努めております。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹