歯を救うために(134)「世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか」を読んで
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
当院の理事長、下田先生より一冊の本を薦められました。
「世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか (森下真紀著)」
こちらの本を読ませていただき、非常に面白かったので感想を書かせていただきたいと思います。
“歯は口ほどにものを言う”
欧米では、歯の美しさは「富」「育ちの良さ」「ステータス」の象徴であると考えられております。歯が汚ければ、信用に値しないというわけです。この場合の歯が汚いというのは、口腔内全体のことを指しており、歯並びや歯の黄ばみ、口臭などを表しています。歯はその人のバックグラウンドを反映しており、そのため欧米人は徹底して歯を美しくするというわけなのです。
きれいな歯は自己管理能力の証明であり、定期的に歯科医院に通ってクリーニングを受けて、自宅での口腔ケアもしっかりと、さらにはホワイトニングも行うことは欧米エリートの日常行為であるということなのです。日本では歯に対する意識は欧米の足元にも及ばないことでしょう。彼らと私たち日本人の「歯に対する意識」の間にはまだまだ大きな隔たりがあることは間違いないだしょう。しかし、最近では歯を大事にする人も徐々に増えてきているのではないでしょうか?私も日々の臨床において、患者様の審美に対する意識の高さを感じることは少なくとありません。銀歯をセラミックに全て変えてほしいという方や、定期的にクリーニングを受けたいという方、またホワイトニングや矯正治療を受けたいという方まで様々な相談を受けることがあります。美しい歯は笑顔をより引き立たせ、相手に強い印象を植えつける重大な役割を果たしています。
欧米では予防歯科が浸透しています。そのため、子どもの頃から歯科医院に通う習慣があります。正しいブラッシングの基礎知識やデンタルフロスによるケアを教えてもらうことができます。
クオンタムリープ代表(元ソニー会長)の出井伸之さんのお言葉より、「病気になってから治療に行こう」といった意識では自分を守れません。歯についても同様で、体の大事な一部として「病」になる前に守ることが大切だと仰られていました。まさにその通りであると思いました。
歯の予防に対する意識の問題が非常に重要であると再認識しました。
健康な歯は、全身の健康の基盤である。歯周病は「口の中」に限定した病気として捉えられがちですが、実は「全身に炎症が継続している病態」として捉えるべき疾患と言われています。
認知症、脳梗塞、誤嚥性肺炎、心筋梗塞、心内膜炎、低体重児出産、動脈硬化、癌、糖尿病、早産、関節リウマチ、EDなど歯周病が関連する病気がたくさんあります。
口腔ケアでそれらの疾患にかかるリスクを下げられるのであれば、口腔ケアを行わないという選択肢はないと考えるべきではないだろうかと言えるわけです。
歯で後悔しないためにやっておくべき2つのこと
❶毎日の正しい歯磨き(ホームケア)
❷歯科医院における定期的な検診とクリーニング(プロフェッショナルケア)
ここで歯周病とはどのような病気であるかということについて触れておきます。
歯周病とは、歯を支えている周りの骨(歯槽骨)や歯肉などの歯周組織が、細菌による感染を受けて破壊されていく疾患です。歯周病の原因菌である嫌気性細菌は、空気を苦手とする細菌類です。
歯と歯肉の間の空気の届きにくい場所を好んで生息しています。プラーク(歯垢)には1mg内に1億個以上の細菌が生息していると言われています。ブラッシングが不十分であれば、プラークの層は厚みを増していき、厚くなったプラーク内部には空気が届かなくなります。
細菌にとっては、とても居心地の良い繁殖場所となるわけです。そのようにして、プラーク内で病原性を増した歯周病原菌は、歯と歯肉の間奥深くへと進行していきます。歯周病のリスクファクターで唯一コントロールできる因子が「細菌因子」であり、歯周病の原因となる細菌数を抑える「プラークコントロール」が私たちにできる予防になります。患者様ご自身のホームケアと私たち歯科医院でのプロフェッショナルケアが予防の要であるというわけです。
・歯周病予防に向けた正しい「歯磨き」のポイント
①プラーク除去が目的
②「歯と歯肉の境目」「歯と歯の間」が重要
③歯ブラシに加えて歯間清掃器具の併用が必須
-まとめ-
「歯で人生が大きく変わる」
「きれいで健康な歯は必要不可欠」
本書はそのためのノウハウについて分かりやすく書かれており、
一般の方にも読みやすい本であると思います。
また、私たち専門の歯科医にとっても役立つ内容で
患者様とのコミニケーションにも使える良書です。
さぁ、今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹