歯の移植〜下の親知らずを移植したケース⑴
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 小坂井 竜也です。
今回は下の親知らずを移植した実際のケースについてお話しします。
移植に関してのブログはこちらでお話ししております
この患者さんは右下奥歯が割れてしまったことをきっかけに来院しました。
右下の虫歯を放置してしまっていて、その後ろの親知らずが頭を出してきている状態でした。
わかりやすいように、
赤が、もともとあった歯の状態で、緑が横に生えてきた親不知です。
この状態は奥歯がダメになってしまう場合でよく見られるケースです。
親知らずが原因で磨きにくくて手前の歯が虫歯になり
放置しているといつの間にか虫歯が進行していきます。
やわらかくなった歯質に横に生えたどんどん親知らずがどんどん出ていきます。
そして気付いたらあっという間に手前の歯が割れて噛むための歯質がなくなってしまいます。
このままだと、割れた歯は抜いてしまう必要があります。
しかし横に生えた親知らずもこのままだと噛むこともできないため、抜くことになってしまいます。
これが通常の方法です。
しかし、移植という選択肢があれば、この親不知を救い、割れた歯を抜いてなくなったところを補うことができるのです!
レントゲン像を追って説明していきます。
こうなると次の治療の選択肢は、歯を抜いた後。親知らずも抜いてインプラントとなるケースがもしかしたら一番予知性が高いかもしれません。
しかし、このケースは、右下の親知らずが横に埋まって生えており、サイズも抜く歯と移植する親知らずのサイズがそこまで差がないこともCT画像で確認できました。
さらにこのケースはなんと保険適応なのです!
数ヶ月は右下で固いものなど食べる際には気をつける必要があることをお話しし、患者さんには一度試してはいかがでしょう?とお話しました。
転ばぬ先の杖として、右下がダメだったら右上の親知らずも利用できるかもしれません。
さらに、インプラントの前処置としても歯の移植をすると、骨や歯肉がしっかり整うこともあることをお話ししました。
その結果、患者さんは歯の移植を希望されました!
次の来院時に右下の7番を抜いて、右下の親知らずを移植することになりました。
そして当日、治療が始まりました!
順番通りに保存不可能な歯を先に抜いて親知らずを抜き、抜いた穴に入れていきます。
この時のレントゲン画像がこちらになります。
レントゲンでは根っこの先のみフィットしています。
治療に関しては、術自体が煩雑になるので非常に大変でした。
保存できない歯を抜いていくのですが、根っこもしっかりしており、分岐していることと、虫歯が大きくて、そもそもの治療が難しかったです。
そして親知らずを抜いていき、抜いて穴に入れていきます。
この時に完全にドナー歯と抜いた穴が一致する人はいません!
だから、抜いた穴をドリルでトリミングする必要があります。
また、移植した後がまた配慮が必要で、いわゆるドナー歯の後ろがないため、ずれてしまったりするケースも見られます。
これは糸抜い等の工夫や、場合によっては、歯をトントン叩いて歯を入れていく必要もあるかもしれません、
今回は移植前に糸をあらかじめ後ろの方に縫っておき、歯が入った後の後ろに流されるのを防ぎました。
また、歯の浮き上がりを防ぐような糸縫いをしたり、ボンドで固定したりやることはたくさんありました。
このように移植治療は歯科医師もしっかり勉強して技術を磨いていく必要があるのです。
これで当日の処置は終わりです。
そうしては3週間後糸を切って治療に入ります。
あとは患者さんの治癒力に頼るばかり・・・!
うまくいくことを願います!
長くなりましたので後半は次のブログに移ります。
後半での必要な処置やレントゲンでの経過を追っていきます!
全ては患者さんのために!