歯牙移植における3Dプリンターの利用法
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
先日のデンタルショーでの3Dプリンターの話に引き続き、今現在使用している歯牙移植における3Dプリンターの利用法についてお話したいと思います。
移植手術における3Dプリンターの目的は
・サージカルガイド
・歯牙レプリカ
・根管充填後の仮歯
として利用しております。
- サージカルガイド
インプラント治療同様ドリリング(骨に穴を開ける)時にシミュレーション通りに手術を進めるため、サージカルガイドを用いて歯牙移植を行います。
待機移植時や欠損部への移植を行う際など、主にドリリングを行う術式が多い時に製作をして使用しております。
- 歯牙レプリカ
現在ではすべての歯牙移植を行う際に製作をして利用しておりますが、受容床に歯牙のレプリカを試し入れしながらドナー歯が入るための穴を調整していきます。今後のブログでも触れますが、ドナー歯は抜いてから『18分』以内に受容床に移植をしなければ救命率がガクッと下がるといわれています。そのためなるべく最短で受容床に移植をするためにドナー歯のレプリカを作り、それで受容床の形を作ってから移植を行なっております。
- 移植手術後の仮歯
移植手術後は歯根未完成歯以外、根管治療が必要になります。それは移植のためにドナー歯を抜歯した際に歯髄(歯の神経)が死んでしまうからです。根管治療をせずそのままにしてしまうと中に生じた炎症により歯周組織にダメージを与えてしまい、結果保存不可能になってしまうことがあります。移植手術後固定をし、根管治療を終了させたら、動揺の具合をチェックし、落ち着いてくるようなら仮歯を入れて機能させます。
仮歯を入れることで、噛み合わせの復元と歯周組織の安定を図り、またブラッシングの指導を行いながらケアのスキルをアップしてもらっています。
直接患者さんのお口に入るものは仮歯だけかもしれませんが、
それ以上にサージカルガイドや歯牙レプリカは手術時間を短縮し、侵襲性が小さくなると考えます。
これにより移植手術が皆様にとって敷居の低い治療法になるよう、保存不可能と言われたときの選択肢の一つになるよう願っております。
歯牙移植について聞いてみたいという方、歯が残せないと診断された方、是非ご相談ください。もしかしたら歯牙移植が適応になるかも知れません。