こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

先日、下地勲先生の「歯と歯列の保存セミナー」に参加してきました。

内容は矯正的挺出術、意図的再植術、歯牙移植術について。

 

保存治療の第1歩

 

セミナーの題にもあるように「保存治療の第一歩」というタイトルで、

歯をなんとか残す治療についてのお話でした。

 

インプラント治療は技術の向上などにより成功率が高まっていることで、

最近では簡単に歯の抜歯を行う歯科医院が多くなっていると下地先生はお話されました。

確かにインプラント治療を行う場合、インプラントを埋入する骨に問題があれば迅速に解決をする必要があるため、抜歯を行うことがほとんどです。

もちろんインプラントは確立された治療で段階を踏んでしっかりとした治療を行えば長期的予後が期待できる治療法ですが、ご自身の問題のある歯の状態をしっかり把握し、それが保存ができる歯でさらに長期的な予後が期待できる状態だったらどうでしょうか?

 

セカンドオピニオンとしてご来院される方が多い当院ですが、

やはり前院で「保存ができない」と診断され、「なんとか残す方法がないか?」といらっしゃる方の割合が圧倒的に多いのが現状です。

そういった方すべての歯を救える訳ではありませんが、

どこが残せる歯、残せない歯の線引きなのか、現在治療している治療法にもう少し改善の余地がないのかブラッシュアップのために受講させていただきました。

 

今後、ブログでも矯正的挺出術(エクストリュージョン)、意図的再植術、歯牙移植術についてそれぞれ実際の症例とともにお話させていただきますが、今回の講義で特に印象的だったのは「移植治療後の治癒のメカニズム=歯の発生の過程」だということ。

つまり歯の発生の過程を考えて移植を含めた保存的治療をしなさいということです。

セミナー会場が飯田橋で母校の駅だったこともあり、講義を受けながら学生の時に「組織学」といってよく歯の細胞をスケッチしたり、講義を聞いていたことを思い出しました。

 

 

歯を支える組織「歯根膜」には

① 再生機能

② 恒常性維持機能

③ 感覚機能

があるとされています。

これはインプラントにはない、ご自身の歯だからこそ持っている機能です。

 

iPS細胞の研究が進み臨床的に普及していくまでまだまだ時間がかかると思いますが、

その中でご自身の歯により歯周組織の再生が誘導できるのは、無視していいものではありません。歯根膜組織が正常なのか、既に死んでしまっているのかを診断することが、その後の歯の保存の可否の大きな分かれ道といえるでしょう。

 

次回以降はもう少し掘り下げて各治療法についてのお話をさせていただきます。

 

 

野田裕亮

医療法人社団徹心会ハートフル歯科