保存できる歯できない歯 Part3
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回は引き続き保存できる歯できない歯について。その中でもむし歯が大きく進行している場合についてお話します。
以前のお話で歯の治療を家に例えてお話をしましたが、歯根はいわば家の基礎に値する部分。シロアリに食われてしまった基礎はどうにもなりませんし、柱に継げる基礎がなければそのあとの家の建築はできないでしょう。
根管治療も似たところがあります。コア(柱)、被せ物(屋根)を建てるならしっかりした歯根(基礎)は必須です。フェルールといい、神経を抜いた歯(失活歯)に被せ物を入れる際に、被せ物の縁よりも上に健康な歯質が高さ2mm(骨縁から5mm)、幅1mm、が必要だと考えられています。また無理に治療しても、精密な型取りを行うことができず、適合の良い被せ物が作れません。その結果は、被せ物と歯の間に不適合な隙間が出来て、そこからむし歯が再発してしまいます。そのためむし歯が大きい場合は、虫歯を取りきった状態で健康な歯質がしっかり残っているのかどうかを見極める必要があります。
これをせず根管治療をただ行い、土台被せ物を入れれば、「つける→外れる→またつける→また外れる」の繰り返しになってしまいます。
いつも外れる被せ物が入っていらっしゃる方いらっしゃいませんか?もしかしたらフェルールが不足しているため、本来は保存できないものを闇雲に治療されている可能性があります。
むし歯が大きく進行し、健康な歯質が不足している場合、抜歯の宣告をされることは珍しいことではありません。他の項目のときと同じように、症例によっては保存できないと宣告されたものでも「エクストリュージョン」「クラウンレングスニング」によって保存を図れるものもあります。しかし残念ながら全ての症例に適応できるものではありませんので、しっかり精査しご相談する必要があります。
むし歯が大きく抜歯を宣告された場合、抜歯を受け入れる前に残せる可能性が本当にないのか一度ご相談ください。
野田裕亮