湾曲根管-トランスポーテーション-①
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回のテーマは、「トランスポーテーション」になります。
根管治療を行なっていると当たり前のように感じることがあります。
ほとんどの根管は湾曲しています。その湾曲した根管にファイルと呼ばれるヤスリのような
根管清掃用器具を用いて、不用意に拡大・形成を行った場合に何が起こるでしょうか?
オリジナルの根管を逸脱した根管形成となってしまいます。
根管形成後の根管がオリジナルの根管形態から逸脱してしまうこと…
これをトランスポーテーション(Transportaion)と言います。
歯内療法の教科書に記載されているレッジやジップなどもトランスポーテーションと同様なことであると言われています。
根管の象牙質は軟らかいために、剛性が強い器具で湾曲部を形成した場合にはすぐに根管の直線化(=トランスポーテーション)が生じてしまいます。
トランスポーテーションが生じると、健全な根管壁を削ってしまうだけでなく、根管内の感染源の除去が困難な状態になります。
さらに、一度トランスポーテーションが生じた場合には、再治療においてオリジナルの根管を拡大・形成することは非常に困難になります。
症例です。
52才 女性
右上6番
数年前に他院にて右上6番の根管治療を受けたが、その当時から違和感を感じていた。
また別の歯科医院においても診断を受けたが、湾曲根管の困難性について説明された。
当院にはセカンドオピニオンで来院されました。
術前におけるレントゲン写真です。
右上6番においてMB(近心頬側)根管は湾曲しており、
根管充填材が直線的に充填されています。
トランスポーテーションですね!
難しいところですが、全力で治療させていただきます٩( ‘ω’ )و
根尖病変も認められます。
また、右上7番においては銀歯の下に神経に近いむし歯ができていることが分かります。
幸いお痛みはありませんでした。
術前における口腔内写真です。
歯と歯の間に物が挟まっていることが分かります。
今回はここまでになります。
本格的な根管治療は、次回以降のブログにて続きを書かせていただきます。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹