根管治療の診査について-診査・診断の整合性-
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、、、
前回の内容を踏まえて診査を行った場合によくある話です。
初診の患者様に診査を行った結果、症状と診査結果が不一致することがあります。
つまり、矛盾が生じることがあります。
正直、焦ります…
例としては、
歯髄の診断は正常(Normal pulp)、根尖部歯周組織組織の診断が根尖性歯周炎(Apical periodontitis)の場合は、
根管治療の適応にはならないということです。整合性の有無が当然重要ということです。
心理的に確定診断を急いで先入観から決めつけてしまいがちですが、
焦らず時間をかけて再確認します。
それでも一致しない場合は、暫定的な診断「待機的診断」に止めます。
そして、そのことを患者様にきちんと説明します。
患者様の心理としては、もしかしたら納得のいかないこともあるかもしれません。
ご迷惑をおかけすることもあると思います。
でも、不用意に神経治療することは避ける必要があります。
なぜならば、そこから場合によっては神経治療した歯が時間が経過して病気の再発を起こし感染根管治療へと進んでしまうことで、根管治療の成功率は下がる可能性をもっています。だから、最初のファーストアプローチが大切なのです。
症例です。
診査結果を確認してみましょう!
術前の口腔内状態です。
レントゲン写真です。
左下奥から2番目に神経近接している
大きなむし歯が確認できます。
27才 女性
左下6番
<主訴>
左下奥歯に穴があいた。
むし歯の治療途中であったが、約1年間来院なし。
奥歯に穴があいて、冷たいものがしみる。
噛むと痛みあり。
治療再開のため、再度、当院を受診。
<現病歴>
左下6番遠心部に神経近接している
むし歯あり
・歯髄の診査
冷水痛(++ 持続痛10秒)
温熱痛(+)、電気診(+)
・根尖部歯周組織の診査
打診(+)、根尖部圧痛(±)
プロービングdepth(2mm)
<診断名>
・歯髄の状態(Pulpal):
Symptomatic irreversible pulpitis
(症候性不可逆性歯髄炎)
・根尖歯周組織の状態(Apical):
Symptomatic apical periodontitis
(症候性根尖性歯周炎)
<治療方針>
根管治療
この患者様の治療や予後については
また別の機会にブログで書かせていただきます。
まとめです。
前回のお話の繰り返しになりますが、
各診査を行い、診断して診断名をつけます。
もちろん、整合性がとれているか確認します。
とれない場合は時間をおいてから行うこともあるということ…
そして、診断名がついたら、治療計画を立てます。
この一連の流れをもってはじめて治療開始となります。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹