歯髄診査について-温度診(冷温診・温熱診)-
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、、、
「温度診」です。
歯の神経である歯髄診断は本当難しいですよねー。
神経の状態を正確に把握することは、一つの診査だけでは不十分なんですよね、、、
なぜでしょうか?
①歯の神経は硬組織に囲まれた内部にあることから直接的に反応を見ることができません。
硬組織を介した刺激で反応を見なくてはならないためです。
そして、
②診断時は神経が炎症状態にあることが多いためと言われています。
①と②が診断を難しくさせるというわけです。
温度診は歯髄の診査に行います。
温度診には冷温診と温熱診があります。
温度診とは歯に温度刺激を与え、痛みの誘発状態から歯髄の異常や歯髄炎の進行状態を調べる診査法です。
正常な歯髄では、温度刺激を加えても痛みが生じにくいと言われています。
もし、痛みが生じたとしても刺激を除去した段階で痛みは消失します。
逆に歯髄が炎症を起こしている場合は、冷刺激に鋭敏となっているため、痛みが誘発されるだけでなく、
刺激を除去した後も持続するのが特徴です。
持続的な痛みが歯髄の炎症のキーワードです。
さらに急性化して悪化すると、温刺激で痛みが増悪し、末期には逆に冷刺激によって痛みが緩和するという特徴が認められます。
冷温診としては、日本でよく使われているものとしてパルパー(GC)が挙げられます。
パルパーはプロパンとブタンの混合ガスで
3cm離すと-30℃になり、エチルクロライドと同じ温度になるそうです。
使用方法はパルパーのスプレーを吹き付けて
氷状となった砲弾型のスポンジを歯冠部に当てて痛みを感じるかどうかを患者様に確認します。
欧米ではEndo-Iceと呼ばれるものを用いて診査するそうです。
温度は-25℃ぐらいとのこと。
歯髄の炎症が起きている不可逆性歯髄炎の場合、
冷水による痛みの閾値が下がっているため、いきなりこの診査を行うと患者様に激痛を与えてしまう恐れがあるため、
まず最初にEPT(電気診)、次に温熱診を行うようにした方が良いと教わりました。
もちろん、各診査を行う前に事前にどのような反応が起こるのかを十分に説明してから対応させていただきます^_^
温熱診は濡れた小さな綿角の上からヒートプラガーを当てて、熱して歯に当てて痛みを感じるかを確認します。
冷温診と温熱診は感度と特異度にバラツキがあり、
これら2つの診査とEPTを組み合わせると
精度が高くなります。
つまり、診断精度を上げるにはEPTやCold Testが必要になります。全く臨床症状がなくても、
EPTやCold Testに反応しないケースもあります。
EPTやCold Testを行うことで、症状のない歯髄壊死の見逃しを防ぐことができるというわけです。
最後に繰り返しになりますが…
診査・診断、ほんと大事ですよね!
ブログを書きながら自分自身改めて考えさせられました。
整合性のある診査・診断を心がけなくては٩( ‘ω’ )و
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹