なるべく歯を残すためにー歯冠長延長術の症例ー
こんにちは。
いつもありがとうございます。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師 井上貴史です。
今回はなるべく歯を残すために歯冠長延長術の症例について書きたいと思います。歯冠長延長術については以前のブログに書かせて頂きました。⇒https://heartful-konkan.com/blog/12721
実際の歯冠長延長術ついて症例を報告します。
患者さんには術前に口腔内写真などの治療の資料を使用することを十分に説明し同意を得ています。
患者さんは左上第一小臼歯(前歯から4番目の歯)の治療を希望し来院されました。
患者さんはなるべく自分の歯を残すことを希望されています。問診、口腔内診査、X−P写真(レントゲン写真)撮影などの診査をしました。
今回は、むし歯が進行しているため一部の歯肉が歯の上にのってしまっている状態です。このまま補綴治療(被せ物治療)は難しいです。どうしてかというと、まず第一に、歯に被せ物をするためには土台を歯に作らなければいけません。その後に被せ物を取りつけますが、この状態だと土台も被せ物も歯には接着しません。歯肉がその妨げとなるからです。そこで、今回は健全の歯質が出すことを目的に歯冠長延長術を説明し、同意を得て行いました。
この症例の歯冠長延長術は歯肉だけを整えても歯冠(歯の頭)が出ないと判断して歯の周りにある骨も整えました。歯肉(赤い部分)と骨の両方を切除し形を整えました。
歯冠長延長術の術中や術後の写真は出血などもありますので割愛させて頂きます。
歯冠長延長術1ヶ月の状態です。まだ歯肉は完全には落ち着いていませんが、歯の土台を入れ、仮歯を入れて歯肉が歯の上にのらないように抑えています。仮歯で歯肉の状態や咬み合わせなど確認します。
仮歯で一定期間状態を確認して被せ物に移行していきます。注目してほしい部分は、歯根が全周しっかり歯肉よりも上にあることです。
水色の余分な歯肉を除去して、骨の形も整えます。ピンクの歯肉が黄色い根の先端と同じ面まで下がっていることがわかります。
被せ物はセラミッククラウンを選択し取り付けました。
治療開始時から歯質の量があまりないため、今後は歯の根っこにヒビや破折など歯根破折を注意していかないといけません。セラミックの歯は、すり減りが天然歯に近く時間軸の中で短くなった歯根への力の負担が少なくすることが可能です。その上でさらに、夜間にナイトガード(マウスピース)使用してもらいます。その後、メインテナンスに移行しました。
歯冠長延長術から1年後です。メインテナンス時にクリーニング(プラーク除去など)、とともに咬み合わせ、歯肉の状態などチェックします。特に大きな問題はありませんが、今後も注意深く経過観察をしていきます。
ご不明な点は担当の歯科医師にご相談ください。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史