右上1番壊疽性歯髄炎
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回のテーマは、「壊疽性歯髄炎」です。
壊疽性歯髄炎とは、歯髄に壊疽性の炎症が起こる病態です。歯髄が壊死を起こした後、さらに腐敗菌が感染し壊疽を起こします。
ところで、壊死と壊疽の違いとは何でしょうか?
・壊死
壊死は、細胞や組織の単純な死を意味しています。死んでしまったものが生き返ることはありませんから、不可逆性の変性と言えます。
壊死の原因は様々ですが、主なものに血流の停止や毒素、細菌やウイルスへの感染や火傷、凍傷といったものを挙げることができます。
・壊疽
壊疽は、壊死した細胞や組織にさらなる感染が
起こることで生じる変性です。死んでしまった細胞に腐敗菌が感染して、腐敗臭やガスなどを発生させます。
壊疽性歯髄炎の原因としては、壊死した歯髄への腐敗菌感染です。むし歯の進行が早い若年者ほど起こりやすいと言われています。症状は、急性の場合には激しい拍動性の痛みが起こります。化膿性歯髄炎と同様の症状を示しますが、一つ違うのは独特の異臭を放つという点です。これは歯髄が腐敗することによって生じた腐敗臭です。
それでは一つ症例をお見せしていきたいと思います。
歯の神経が死んでしまい、根の周囲に膿がたまり腫れてきた症例です。
21才 女性
右上1番
数年前に他院にて虫歯治療した歯が、最近になって腫れてきて違和感と痛みを訴えて来院。
術前レントゲン写真です。
診断の結果、レントゲン所見より、右上1番において根尖病変を認め、また電気診において神経の生活反応が認められないことから歯の神経はすでに死んでおり、その影響で歯の周りの骨に膿がたまり、歯肉が腫れて膿の出口(瘻孔)をつくっていました。治療は、無菌的処置としてラバーダムを使用し、歯に新たな細菌が入らないように配慮しながら、腐った神経を除去する根管治療を行いました。根管口まで到達すると、やはり腐敗臭がしました。
レントゲン上で根の長さを確認しています。
歯肉の腫れや瘻孔は1回の治療で引いてきました。その後、根管内を消毒する処置を行い、3回目にキレイにした根管を封鎖する処置、根管充填を行いました。
その後、ファイバーコアにて築造して封鎖を行い、失われた歯を回復しました。
現在では不快な症状もなく、引き続き経過観察を行なっております。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹