右上の奥歯にズーンとした鈍い痛みがある
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、「根管治療前における鈍痛」について書きたいと思います。
根管治療前の痛みには慢性期と急性期の二つの痛みがあると言われています。慢性期の痛みは、いわゆる疼きと言われる鈍痛のこと、急性期の痛みは急激に起こる強い痛み、激痛のことを指します。また、根管治療後の痛みは鈍痛が一時的に起こりますが、ほとんどは治療後短期間で解消されると言われています。
症例です。
63才 女性
右上6番
数日前から右上の奥歯にズーンとした鈍い痛みを感じるということで来院されました。
根の痛みにおいて鈍痛のような場合は、我慢できる範囲の鈍痛が連続あるいは不定期に起こります。症状としては歯肉が腫れたり、患部(根尖付近)を軽く押しただけで痛みを感じたりします。場合によっては膿が出ることもあります。また食べ物を噛んだときに歯が浮いた感じがしたりすることもあります。慢性期から突然激痛に襲われる急性期に移行することもありますから違和感などのような自覚症状を感じた場合には、歯科医院の受診をお勧めします( ´∀`)
術前レントゲン写真です。
右上6番においては、レントゲンを確認すると何だか根管充填材がしっかり入っていないような感じがします。吸収性のある材料なのか、気泡のような隙間も認められます。
術前における口腔内写真です。
患歯の右上6番に装着されている銀歯と歯の境界部(黄色丸印)に段差が認められます。
冠の不適合状態ですね( ´Д`)y━・~~
銀歯を外して、レジンで築造されていた土台部分まで除去していくと根管口が見えてきました。根管には黄色の充填材が入っていることが確認できます。これはビタペックスと呼ばれる流動性のある根管充填材で時間の経過と共に吸収される材料です。永久歯の交換期で歯根の吸収があるような乳歯の根管充填材料にとても適していると言われています。永久的な根管充填材料として私はあまり使用することはありません。
ビタペックスは、水酸化カルシウムとヨードホルムを主成分としたパスタ状の根管充填材です。根管貼薬として、根管の消毒目的で使用することがほとんどです。
根管に充填されているビタペックスを除去しました。
また同時に根管口部分から歯冠部にかけてむし歯で侵されている部分も、徹底的に除去していきます。
う蝕検知液と呼ばれる歯科材料を使用して、むし歯の部分を染め出して確認します。
その部分を除去して、染め出して、除去を繰り返します。
染め出された部分を除去しました。
感染源であるむし歯菌を必ず除去しなければ、根管治療の成功率の低下を招きますから
徹底的に取り除きます。
根管にカルシペックスと呼ばれる水酸化カルシウム水性ペースト製材を貼薬して、初回の治療を終えました。
今回はここまでになります。
治療の続きは、今後の経過をまとめてご報告させていただければと思います。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹