こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、右上の歯が冷たいものがしみる、咬むと痛みがあることを主訴に来院されました。患者さんはなるべく歯の神経を残したいことを希望されていました。
歯髄(歯の神経)を一部温存したケースについて書きたいと思います。
まずは、お口の中を確認していきます。

右上の前から7番目の第二大臼歯と前から6番目第一大臼歯歯の間の面が変色しています。
特に点線の部分の歯の色が他の部位とは異なります。
頬側からも確認します。

頬側面は茶色く変色し数カ所穴が空いている状態でした。
歯科用器具を使用して歯と歯の間を触ってみると…
白いネチョネチョしたものが歯科用器具についてきました。
これはバイオフィルム(デンタルプラーク、歯垢)といって細菌の塊です。
日常生活では排水溝のぬめりでよく例えられます。
このバイオフィルムが今回のむし歯になってしまった原因と思われます。
このバイオフィルムは機械的除去が有効です。
機械的除去とは日々の歯磨き、歯と歯の間の汚れはデンタルフロスによりバイオフィルムを除去していきます。
日々のセルフケアのみだと難しい部分もあります。そのため定期的に歯科医院でのメインテナンスによる歯科医師、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアをおすすめします。
まず、患者さんにこの状況をお見せして説明します。
なぜなら、むし歯の治療、被せ物をして終わりでないからです。
このバイオフィルムを除去できなければ治療をしてもまた再発をしてしまう可能性が高いからです。
どの歯のどの部分に磨き残しがあるかを確認します。その後、歯磨き指導をしていきます。患者さんがむし歯の原因やプラークコントロールについて十分に理解してもらってから実際の治療になります。
奥歯の歯と歯の隣接面はどうしても歯ブラシが届きにくいため、意識して歯ブラシの当て方、動かし方を確認してバイオフィルムを除去していくことが大切です。
今回はむし歯の治療をする前にバイオフィルムを除去する大切さについて書かせて頂きました。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史

医療法人社団徹心会ハートフル歯科