VPT 神経温存療法の実例!
こんにちは、ハートフル歯科総合グループ 小坂井 竜也です。
過去にVPTを用いて大きな深い虫歯でも神経を温存しましょう!というお話をしていきました。
今回は、実際のケースを写真を追っていってご紹介していきます。
そのままの流れでお話しするので画像多めで長めですみません。
この患者さんは、20代男性 左上の歯が欠けてしまったことを訴えて来院されました。
物を食べると挟まって痛みがあるという状態でした。
レントゲンとると・・・
一番左の歯です。レントゲンだと左右逆に写ります。
赤線が神経の管、緑線が虫歯の大きさを示します。
過去のブログで解説したことのおさらいで、虫歯の大きさは画像の例で示すと
C3で、エナメル質、象牙質、神経と虫歯の感染を疑われる状態で、通法では神経を取ってしまうケースです。
ここで簡単に神経を取ってしまうのは早計です。さらに診断を進めていきます。
・何もしなくても痛い状態ではありませんでした。(自発痛なし)
・冷たい水はややしみるが、あったかいものは大丈夫でした。
・歯に微弱な電気を与えたところ、しっかり反応がありました。(歯髄電気診+)
これにより、VPTの条件である
①自覚症状が無いこと
②神経が生きていること
はほぼ満たされました!
ここで患者さんには神経を残せる可能性のお話をしました。
このメリットのお話は過去のブログに解説してありますので割愛します。
この患者さんは、VPTにて神経を温存していく方向に決定しました!
自費治療になるのでハードルが上がるのですが、私の神経保存に対する説明、熱意が
伝わって頂いたようでうれしく思います。
では、実際の治療に移っていきます。
まずは、麻酔をして虫歯を除去していきます。
神経が出でくるギリギリまで虫歯を取ります。
カリエスチェッカーという液体で虫歯を染め出します。
染め出したら、虫歯がまだまだ深く、確実に神経まで到達することがわかったので
ラバーダム防湿をして、唾液等からの菌の感染を防ぐ環境を作ります。
そして、滅菌された器具で青く染まった箇所を全て除去。
さらに、感染が疑われる神経部分を一部除去します。
再度、虫歯を染め出しても青く染まりません。
露出した神経からも炎症からの出血も治りました。
これにてVPTの最後の条件をクリアしたので、MTAセメントを充填していきます。
しっかり均一に過不足なく充填します。
マイクロスコープで21倍の最大倍率でチェック!気泡等の確認をしていきます。
問題なし!こういうチェックに当たって、マイクロスコープの力は術者及び患者さんに
最大の恩恵があるのです、実際の肉眼ではこの精度は絶対に出せないのですから・・・
そしてできるだけ漏洩を防ぐためプラスチックで接着して仮の蓋をします。
ラバーダムを外して噛み合わせと形態修正をしていきます。
VPT後のレントゲンチェックをします。
問題はなさそうです!神経を途中で切断して、MTAでしっかり封鎖されていることがわかります。
そして、一週間後にはMTAの初期硬化は終わってるので
仮の蓋を外してセラミック治療に移ります。
この患者さんは、一週間後、症状もなく、神経の反応もしっかりあったため
1DAYセラミック治療を行い、無事処置は終了しました。
この時も、1DAYでセラミックが入り、歯と接着していくことで治療が完結します。
セラミック治療で虫歯で失った歯質を補修することが神経への再感染を防げる理想的な治療であり、予防の切り札です。
この患者さんは歳も20代と若く、長期的に見れば確実に神経を残していくことが正解でしたので、良い結果が出て、とても喜んでいただけました。
来院回数も2回と少なく、神経保存もできました。
見た目も見える部分の治療なのですが、セラミック治療なので目立ちません。
現在も通常通りのお食事が可能となりました。
今後もメンテナンスで経過を追っていきます。
VPTに関してご興味ある方は、お気軽にご相談ください。
全ては患者さんのために!