生活歯髄療法②
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
前回のブログの続きになります。
ここで代表的な冷水診と電気診について、ふれておきますね。
歯髄診断のための歯牙冷却材「パルパー(GC社)」です。
一過性の冷水痛か間欠性の冷水痛かを診断します。
間欠性というのは持続的な痛みを表します。
電気診を行う時に使用する「デジテストⅡ」です。
歯髄電気診とは歯に微弱な電流を流し、その反応で歯髄の生死を鑑別する検査法です。
生活歯(神経が生きている歯)では通電によって痛みが起こるが、
歯髄が壊死した歯では痛みが起こりません。
但し、歯髄電気診で歯髄の病態を正確に診断することはできません。
あくまで、生活しているか否かの診断のみにとどまります。
生活歯髄療法はいくつかありますが、
ここではその全ては省略させていただきます。
私たちが普段の診療で行なっている
生活歯髄療法は「部分断髄法」を主に行っております。
ダメージを受けた神経を部分的に切除して健康な神経を残す方法です。
生活歯髄切断法は、従来から方法としてはありましたが、乳歯などで行うものでした。
予後に関しては、不透明であると感じています。
今は、1998年MTAセメントが開発され、歯髄保護、歯髄保存の救世主として
世界的には広く認知されています。
しかし、日本国内では、保険内で使用が出来ず、治療が受けられる施設は限られています。
なぜそうなるのでしょうか。
<MTAを使用した歯髄保存療法が広まらない理由>
1、ラバーダムが必須
2、マイクロスコープの必要性
3、滅菌バー、滅菌綿球の必要性
3、学生時代には存在していなかった手技、素材(MTAセメント)だから、分からない。
4、単純に1〜3番に関して、やったことのない不安
上記の理由から一般化されていません。
また、保険医療費の支払い方法が出来高制のために、
無理に神経を残す治療をしてあとで痛みが出て怒られるよりも
神経を取ってしまえば良いと考える歯科医師がいることも現実です。
ブリッジ(1本歯がないところに、3本つながった歯を作ります。)を作るために、
便宜抜髄と言って、痛くない歯の神経を取ることも場合によっては推奨されていることも現実です。
もちろん、便宜抜髄をしなければならないこともあります。
MTAを使用した治療がもっと幅広く保険治療に導入されれば、世界は変わると思います。
私たちは諦めずにより良い治療を目指して、日々頑張っていきます。
今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹