こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書い
ております。

今回のテーマは、「歯髄壊死」です。
前回ブログからの続きとして、引き続き実際の臨床症例について解説させていただきたいと思い
ます。
【レントゲンで歯の根の先に膿がたまっている①】
本症例は、根尖性歯周炎の中の「歯髄壊死」と呼ばれる歯の根の病気です。
歯の神経が死んで、根の先に膿がたまっている状態です。
歯髄壊死とは「歯髄に血流がなく、歯髄組織の活動性がない状態」です。歯髄の血流は根尖孔か
ら歯髄内に入り、根尖孔から出ていきます。その血流が途絶える理由には大きく2つあり、「外
傷」と「炎症」が考えられます。
「外傷」については、歯が転倒や衝突により強い衝撃を受けることで起こります。
「炎症」については、その多くは細菌感染により引き起こされ、炎症が惹起されると歯髄血管の
拡張に伴い血流が増加します。これらにより歯髄内圧は亢進し、硬組織に囲まれた歯髄では圧力
により血管、特に細静脈が圧迫され結果的に血流が低下し、歯髄壊死に至るというわけです。
歯髄壊死に至る原因としては、以下の3つの場合が考えられます。
①むし歯を長期間放置することによって、神経までむし歯が進行してしまい、細菌感染を起こして
神経が死んでしまう場合
②歯の神経に近いような深いむし歯を治療後、自然に神経が死んでしまう場合
③むし歯などの治療歴がなくても、クラックと呼ばれる噛み合わせなどから起こる歯に対するヒ
ビからの細菌感染によって、神経が死んでしまう場合

根管口(根管の入り口)明示したところです。頬側と口蓋側の2根管になります。

根管充填前です。

根管内にシーラーを満たして、ガッタパーチャポイントにて根管充填しているところです。
根管治療(根管の清掃・消毒)終了後には、根管内を密閉するために根管充填と呼ばれる処置を行い
ます。その際にガッタパーチャと呼ばれる樹脂の充填材を使用します。
シーラーとは、ガッタパーチャと根管との密着性を補助するための糊のようなものを言います。
つまり、ガッタパーチャポイントによる根管充填を行う際に、根管壁とガッタパーチャポイント
との空伱を塞ぐことで、補助的に封鎖性を向上させるための根管用セメントです。また、側枝など
のコア材が入り込めない伱間を埋めるという働きもあります。根管充填は、ガッタパーチャ+シー
ラーの組み合わせになります。ガッタパーチャが主役でメインのコアになるものと考えれば、シー
ラーは脇役でサブの役割となります。根管充填材は、ゴムの一種で根管において長い間安定する性
質をもつ「ガッタパーチャ」と糊の役目をする「シーラー」の2種類で成り立っています。

根管充填後のデンタルX線写真です。

『鞠躬尽力、死して後已まん』-諸葛孔明-
(きっきゅうじんりょくして、ししてのちやまん)
【ひたむきに己の全力を尽くし、死ぬまで止めない覚悟である】
この名言は謙虚さ、誠実さ、全力投球、後悔のない生き方、そして充実感を追求する精神を伝え
てくれる彼の卓越した哲学と人生観を示すものです。

「すべては患者様の笑顔のために」

医療法人社団徹心会ハートフル歯科