レントゲンで歯の根の先に膿がたまっている①<歯の神経が死んでいる>(臨床症例)
こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書い
ております。
今回のテーマは、「歯髄壊死」です。
「歯の根の先に膿がたまっているので、状態によっては歯を抜かないといけません…」
ある日、歯科医院を受診した際にレントゲン上で過去に神経処置もされたことがない歯であるに
もかかわらず、歯の根の先に黒い影のようなものが写っていることを指摘されて、当院を受診する
患者様がいらっしゃいます。自分でも気づかないうちに歯が悪くなっていたと感じて、ショックを
受けたのではないでしょうか?
自覚症状をあまり感じることがなかったため、自分で気がつくことは非常に少ないのかもしれま
せん。歯科医院を別の目的などで受診した際にレントゲン撮影において、初めて発見されること
がほとんどであると思います。
レントゲン写真は目で見ることができないような歯の内部や骨の状態などを、白黒の濃淡を目安
に診断することができます。根の先に写る黒い影は根尖部透過像と呼ばれ、その部分において骨
が吸収してなくなっていることを示しています。診断としては、根の先に膿がたまっている根尖性
歯周炎という病気になっている可能性が非常に高いと言えます。
57才 女性
#4【右上5番(上顎右側第二小臼歯)】
<主訴>
他院にて検診で受診した際に、右上5番においてレントゲン上に根の先に膿がたまっていること
を指摘された。
<診断名(Diagnosis)>
・歯髄の状態【Pulp Dx】:
Pulp necrosis(歯髄壊死)
臨床診断分類では歯髄が壊死している事を示す。歯髄は通常、歯髄検査に反応しない。
・根尖歯周組織の状態【Periapical Dx】:
Asymptomatic apical periodontitis(無症候性根尖性歯周炎)
炎症と根尖周囲組織の破壊を伴い、それは歯髄・根管に原因があり、根尖透過像として視認でき、
そして臨床症状を示さない。
<治療方針(Recommended Tx)>
根管治療(RCT)
本症例は、無症状のまま歯の神経が死んで根の先に膿がたまっている状態になっている歯髄壊死
という病態になっていました。
今回は診査・診断における結果までまとめました。
次回以降、引き続き症例解説をすすめていきたいと思います٩( ‘ω’ )و
『鞠躬尽力、死して後已まん』-諸葛孔明-
(きっきゅうじんりょくして、ししてのちやまん)
【ひたむきに己の全力を尽くし、死ぬまで止めない覚悟である】
この名言は謙虚さ、誠実さ、全力投球、後悔のない生き方、そして充実感を追求する精神を伝え
てくれる彼の卓越した哲学と人生観を示すものです。
「すべては患者様の笑顔のために」