こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書い
ております。
今回のテーマは、「狭窄根管に対する根管穿通」です。
前回ブログからの続きとして、引き続き実際の臨床症例について解説させていただきたいと思い
ます。
【根管が細くなっていて器具が入らない①】

まず最初に本症例における患歯、上顎第一小臼歯の解剖学的根管数について示しておきます。

本症例は上図に示したように赤で囲まれている2根管の形になります。

 

メタルボンドセラミッククラウン、土台のコア材まで除去したところになります。
頬側と口蓋側に2つの根管口が確認できます。
また、口蓋根にガッタパーチャと呼ばれる根管充填材が認められます。

ラバーダム防湿を行うために、患歯に隔壁を形成しました。
隔壁はコンポジットレジンを用いてむし歯によって崩壊した残根状態、残存壁数の少ない歯牙の
壁を回復させることを目的としています。
隔壁を形成することでラバーダムを歯牙にかけることが
可能になり、無菌的環境を得ることができます。

根管内に過去に充填されていた根管充填材の除去が終わりました。
根尖性歯周炎と呼ばれる歯の根の病気の原因は細菌です。
根尖歯周組織に細菌の感染が広がり、
その結果として歯根の尖端に炎症が起きて膿がたまった状態が起きます。
根管内に充填されているガッタパーチャも感染しているため、
再根管治療において根管の機械的拡大・清掃、消毒が根の先
まで行き届くように根管充填材を取り除き、根管を穿通させる必要があります。

やはり2根管とも根管の穿通が認められず、根管狭窄している状態でした。
画像は頬側根における根尖部を探索しているところです。
狭窄根管の場合は、顕微鏡下(マイクロスコープ)でニッケルチタンファイルや超音波チップある
いはマイクロツールを用いながら、根管内を慎重に探索していくと根尖付近にスティッキー感と呼
ばれる密着による粘っこい抵抗感、食いつきのようなものを感じることがあります。
スティッキー感のイメージとしては、ダーツの矢を的から引き抜く時の感覚に例えられることもあ
ります。
このようにスティッキー感を感じた場合は、慎重にコツコツと時間をかけて施術していく
ことで穿通する可能性の高さを個人的に感じております。

地道な努力の結果、2根管とも根尖部において根管穿通することができました٩( ‘ω’ )و
これから仕上げに入っていきます。根管拡大形成を目標号数まで行い、根管内の洗浄や消毒を行い
ながら最終的な根管充填材を受け入れるための器づくりがゴールになります。

根管充填前です。
根管充填の目的の一つ目は「Cleaning & Shaping」によって無菌化した根管を再感染させないよ
うに、口腔と根尖歯周組織をつなぐ感染経路、すなわち根管を封鎖することにあると言われてい
ます。

2根管とも根尖までしっかりと根管充填材が入りました。
術前と比較しても違いがはっきりと分かります。
最後に根管充填の目的の二つ目について説明しておきます。
根管の完全な無菌化は実際には困難であると言われています。
機械的拡大清掃を行なっても、取り除くことのできない細菌が根管内には残存するのです…( ´Д`)y━・~~
そのため、根管充填によって除去しきれなかった細菌を根管内にentomb(埋葬)して不活性化し、
再活動を防止することで解決を図るというわけです。

『鞠躬尽力、死して後已まん』-諸葛孔明-
(きっきゅうじんりょくして、ししてのちやまん)
【ひたむきに己の全力を尽くし、死ぬまで止めない覚悟である】
この名言は謙虚さ、誠実さ、全力投球、後悔のない生き方、そして充実感を追求する精神を伝え
てくれる彼の卓越した哲学と人生観を示すものです。

「すべては患者様の笑顔のために」

医療法人社団徹心会ハートフル歯科