こんにちは。
ハートフル総合歯科グループの歯科医師、本山 直樹と申します。
私は、歯内療法専門医の立場から根管治療における臨床症例を通して感じたことをブログに書い
ております。

今回のテーマは、「狭窄根管に対する根管穿通」です。
当院に来院される患者様の多くは、根管治療に対するセカンドオピニオン希望の方、他院では歯
の保存が困難で抜歯が必要と言われた方、お痛みや腫れに長期間悩まされている方、歯の神経を
保存したい方など様々な主訴を抱えた患者様がほとんどです。
特に、再根管治療症例が多く見受けられます。
再根管治療の原因はいくつか考えられますが、その原因の大半は歯髄の石灰化やレッジ形成、
破折ファイルの存在など根管が穿通できていないことに起因していると感じております。

58才 女性
#5【右上4番(上顎右側第一小臼歯)】
<主訴>
右上4番において、過去に治療した歯が最近になって日が経つごとに痛みが増してきている。
根尖部付近を押すと痛みがある。
前医より根管治療時に石灰化して根管が開かなかったと言われたことがある。

<診断名(Diagnosis)>
・歯髄の状態【Pulp Dx】:
Previously treated(既根管治療歯)
臨床診断分類で当該歯は以前に歯内療法処置されており、根管は貼薬材やその他様々な根管充填
材にて充填されている。
・根尖歯周組織の状態【Periapical Dx】:
Symptomatic apical periodontitis(症候性根尖性歯周炎)
通常は根尖周囲組織の炎症であり、伵合、打診、触診に痛みを伴う臨床症状を呈し、根尖透過像
と関連する場合としない場合がある。

<治療方針(Recommended Tx)>
根管治療(Re-RCT)
以前のブログにも書きましたが、根尖に病変があるような場合の根の再根管治療はおおよそ成功
率は60~70%と言われています。
さらに、根管の形態がオリジナルのものから変化していたり、
根尖孔自体が大きく開いて壊れているような場合は、40%程度しか治癒に至る可能性がないとも
言われています。
本症例は、術前デンタルX線写真より根管が狭窄もしくは閉鎖しており、根管の穿通がされていな
い可能性が高いと推測されます。
今回は診査・診断における結果までまとめました。
次回以降、引き続き症例解説をすすめていきたいと思います٩( ‘ω’ )و

『鞠躬尽力、死して後已まん』-諸葛孔明-
(きっきゅうじんりょくして、ししてのちやまん)
【ひたむきに己の全力を尽くし、死ぬまで止めない覚悟である】
この名言は謙虚さ、誠実さ、全力投球、後悔のない生き方、そして充実感を追求する精神を伝え
てくれる彼の卓越した哲学と人生観を示すものです。

「すべては患者様の笑顔のために」

医療法人社団徹心会ハートフル歯科