みなさんこんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮です

 

今回は歯牙移植症例集2024の第3弾をお送りしています

今回お送りする歯牙移植は埋伏歯を移植歯とする歯牙移植法です

 

今回は歯の移植を行うにあたり移植歯の条件とリスクについて

今回は「歯根膜の状態」と「歯根の形態」についてお話します

移植歯(ドナー歯)の条件

 

・歯根膜の状態

健全な歯根膜が歯根についていることが絶対条件

ドナー歯が歯周病により歯周組織が破壊されてしまっていたり、アンキローシスといって

骨に癒着を起こしてしまっている場合は当然歯牙移植には向きません。

また、ドナー歯の抜歯の際に歯根膜を傷つけてしまってはその後の予後に関わるために、

後で触れますが、愛護的な抜歯が必要となります。

今回のような埋伏歯の場合、非機能歯といい噛み合わせに参加していません

噛み合わせに参加していないことから歯根膜は萎縮していることが多く

しっかり生えている親知らずに比べ、移植後の生着を考えた際に不利になることがあります

また埋伏歯を抜歯するとなると分割抜歯と言って手前の歯に引っかかっている歯冠部分を

削りながら抜歯をするケースが多いことでしょう

歯冠部分の削除の際にバーで削らねばなりませんがその際に歯根への負担も考えなければなりません

ただでさえ生着に細心の注意を払わねばならない時にこの一手間はリスクとなることでしょう

 

 

・歯根の形態

単根で湾曲のない歯根が望ましい

望ましいなので絶対条件ではありませんが、ただでさえ煩雑な歯牙移植を単純な手術にするかを

考えたときにとても大事な要素となります。ドナー歯摘出時における歯根破折、歯根膜剥離の

リスクや移植床に移植して手術を終えるまでの時間は手術そのものの成功率に関わる大事な

ポイントです。

「より単純な歯牙移植のためにはより単純な歯根形態」

を常に気をつけ、時には反対側から移植することも視野に入れて計画を立ててもらいましょう

今回のような埋伏歯の場合は特にこの歯根形態が適応・不適応の分かれ目になる

と言っても過言ではないでしょう

埋伏歯の抜歯の場合には先ほども書いたように分割抜歯となる場合が多く

歯冠を分割しての抜歯を行います

単純な歯根形態ならこれで抜けてくることが多いですが

複数根で湾曲している場合は歯根も分割しなくては抜歯ができません

移植したい歯根を傷づけてしまっては絶対に生着しないので

埋伏歯の場合どれくらいの埋伏度でどれくらい単純な歯根であるかが重要となります

 

今回は移植歯の条件とリスクについて

「歯根膜の状態」と「歯根の形態」という観点から

お話しました

 

次回は

「歯根の完成度」と「歯髄の感染の有無」についてお話します

 

あなたの歯が一本でも多く残せますように・・・

 

医療法人社団徹心会ハートフル歯科