みなさんこんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮です

 

前回からエクストリュージョンの治療法についてお話しています。

前回までに

エクストリュージョンの流れについて

実際の症例の解説

をお話しました。

前回のブログはこちら

歯が折れても抜かないで エクストリュージョンによる歯の保存

歯が折れても抜かないで エクストリュージョンによる歯の保存②

今回はエクストリュージョンの利点と注意点についてお話していきます。

 

エクストリュージョンのメリットについて

 

まず最大のメリットは歯を抜かずに残せること

大きく欠けてしまった歯でも条件さえ揃えばエクストリュージョンを行うことができます

また見た目もどの歯をエクストリュージョンしたのかわかりません

そのため術後のケアも今まで通り行うことが可能です

私が歯科治療を行なうなかで一番気をつけていることは

「患者さんの生活の質が大きく変わらない治療」

を行なうことです。

 

いくらいい治療を行なっても

患者さんのお食事の感覚やしゃべる感覚、

歯磨きのお手入れの仕方など

今までの環境と大きく変わってしまう治療は

患者さんの生活を大きく変えてしまうので

第1選択として推奨すべき治療ではないと考えています

とは言っても現状大きく環境を変えなければ困ってしまっている人もいるので

そういった方は別です・・・。

 

エクストリュージョンは歯を引っ張って残す治療のため

歯根の長さは短くなりますが

お食事の感覚やしゃべる感覚、歯磨きのお手入れの仕方など

今までと変わらない生活が送れるこの治療は推奨すべき治療だと考えています

 

しかしエクストリュージョンを行う上で注意することがあります

①元々の歯の歯根の状態

歯根の長さがすでに短い場合はそれ以上引っ張ることはできません。

歯根の長さが7mm残っていることが条件となります。

また、年齢や外傷の既往によりアンキローシス(歯根が骨に癒着してしまっていること)

を起こしていないこと。

アンキローシスを起こしていればいくら矯正の力をかけても歯が動くことはありません。

 

②歯周組織の状態

歯周病により歯周組織が破壊されているような場合は矯正後に揺れが落ち着かないのでNG

まずは歯周病を改善し、その後エクストリュージョンが可能か担当医に相談しましょう

 

③引っ張るための固定源の有無

おおきなかぶではないですが、引っ張るためのメンバーが揃っていなければ歯を引っ張り

上げることはできません。通常は隣在歯に固定源を得て歯根を引っ張ります。

隣在歯が動揺しているなど固定が置けない場合はNG

固定源が取れない場合はインプラントを併用する方法もあります。

 

エクストリュージョンは専門知識と経験を要する手法であるため

あなたの歯が適応になる状態かエクストリュージョンを行う歯科医師に

ぜひご相談ください。

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科