こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

前回から破折歯接着治療症例集2022②として接着治療(口腔内直接法)の症例

についてお話させていただいております。

 

今回は最終章〜被せ物編〜

接着治療後の最終的な被せ物についてお話しております。

 

それでは前回までのあらすじから

前歯の差し歯の脱離で、ご来院いただいた患者さん。

歯根の歯質に割れが生じているのが確認できます。

接着治療のために事前準備として、

根管内や亀裂部分をマイクロスコープ下で超音波器具にて

過剰切削を避け慎重に切削していきます。

3週間の根管内消毒の後、接着治療へと移行します。

医療用接着剤を流し込み、

グラスファイバーを立て、

レジンコアを流し込み、

光照射により硬化していきます。

大まかな形を整え、

仮歯を入れ、

当日は終了となります。

 

ここまでが前回までのあらすじです。

(詳しくは前回のブログをご覧ください)

破折歯接着治療症例集2022②〜診断編〜

破折歯接着治療症例集2022②〜診断編〜

破折歯接着治療症例集2022②〜接着編〜

破折歯接着治療症例集2022②〜接着編〜

ここから今回のお話です。

仮歯を外し、土台がしっかり効果をしていること、

周囲歯肉に腫れが出ていないことを確認し、

最終的な被せ物を入れるために、形を整えていきます。

今回は隣の歯も同時に被せ物へ切り替えるということでしたので、

2本分1D A Yセラミック治療で進めていきます。

 

破折歯の被せ物を行う際、破折ラインは残念ながら再生して消えるわけではありません。

そのため、破折したラインを不潔域に残してしまうとそこから細菌が侵入して

再感染を起こしてしまいます。

厳密に言えば完全封鎖は難しいですが、

できるだけ破折部分は被せ物で覆ってあげるように形を整えていきます。

再度色味の確認を行い、

被せ物が入った状態がこちら

口蓋側(裏側)のは接部のしっかり覆われているため、

どこに亀裂が入っているかも見えませんし、汚れが付きづらい環境になっています。

再破折を防ぐため、噛み合わせは弱めに設定し、被せておりますが、

日常生活で違和感を感じることもなく生活をされております。

 

接着治療はヒビ自体を治す治療ではないため、ヒビはずっと残ってしまいます。

歯が再生するわけではないですから、再破折のリスクや破折部からの再感染のリスクは

常に考えておけねばならず、あくまで延命治療の一つとして患者さんには

ご紹介しております。

 

それでも、歯牙移植のように代わりとなる歯がなく、インプラント治療も望まれない場合、

ブリッジのように隣の歯を削らなければならなかったり、

入れ歯のように違和感の強いものをお口の中に入れなえればならなかったりと、

お口の中の環境が大きく変わってしまう治療をなるべく先送りにする治療としては

十分な治療だと考えております。

 

破折による保存不可能と診断された方、

抜いてしまうその前に何かお手伝いすることができるかもしれません。

一度ご相談ください。

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科