こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

 

前回から破折歯接着治療症例集2022①として接着治療の症例について

お話させていただいております。

 

今回は〜手術編後編〜

歯根破折歯に対しての口腔外接着法(再植法)の流れの続きについてお話していきます。

 

まず前回までの流れから

破折歯を抜歯し

抜歯窩の掻爬を行い、再植する場所をキレイにします

破折歯にまとっている炎症性の歯肉もしっかりと掻爬し

根管内もキレイにします

ここまでが前回までの前編になります。

 

この後接着操作に入ります。

 

今回のケースの場合、

歯根上部では破折片がやや分離していたこと

歯周組織にもダメージがあったこと

以上のことから口腔内接着ではなく、口腔外接着法(再植法)の選択をしました。

 

まず医療用接着剤の接着性U Pのため歯根表面に酸処理を行います。

歯根表面を乾燥させすぎないように注意しながら水洗し、乾燥させます。

根管内に医療用接着剤を流し込んでいきます。

完全に分離してしまった歯根ではないので、直接法に準じて行っていきます。

硬化してしまう前にコア材(土台)のレジンを根管内に流し込んでいきます。

コア材を流し込むことで破折した間隙に医療用接着剤が溢れてくることが理想です。

 

医療用接着剤は流れがいい分、強度が弱い

コア材のレジンは強度がいい分、流れが悪い

そういったイメージです。

医療用接着剤が硬化した後にコア材を立ててしまっては、

医療用接着剤の流れの良さを活かしきれなかったり、

接着界面が生まれてしまうため、そこからの当院での接着治療では

概ね医療用接着剤とコア材を織り混ぜて使用しております。

 

ファイバーコアを入れ

歯根表面の亀裂にも医療用接着剤を流し

光照射により硬化させます

光照射で固まる部分はコア材のレジンのみで、医療用接着剤は時間の経過で固まっていくので、

乾燥させないように生理食塩水中で濡らしたガーゼをかけ、保湿状態で硬化を待ちます。

硬化を待っている間に再度口腔内の再植する部分に炎症組織が残っていないか確認を行います。

問題がなければ硬化した医療用接着剤の過剰部分を整えていきます。

歯根表面に再生療法のお薬(エムドゲイン)を塗布し、

再植を行います。

抜けてこないように縫合をし、

噛み合わないように噛み合わせの調整を行い

隣在歯に固定を行います。

 

ここまでが口腔外接着の流れになります。

術後は4週間ほど固定を行いますので、硬いものを噛まないように、

また歯ブラシは上から届く範囲に留め、歯間ブラシやデンタルフロスは避けてもらいます。

 

次回は〜固定除去編〜

4週間後の状態からお伝えします。

 

保存不可能と言われた場合、

もしかしたら「保存的治療」によって治せる術があるかもしれません

抜いてしまうその前に一度ご相談ください。

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・

医療法人社団徹心会ハートフル歯科