こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

今回のシリーズは症例集ではなく、当院の「保存的治療」についてお話しさせていただいております。

 

今回のシリーズは「保存的治療」における歯牙移植についてお話しております。

 

前回までは「インプラントにない歯牙移植のメリットとは」「歯牙移植の治療の流れ」について

お話させていただきました。

前回のブログはこちら

インプラントにない歯牙移植のメリットとは

歯牙移植の治療の流れ

 

今回から「歯牙移植の条件 歯牙移植に向く人向かない人」についてお話させていただきます。

 

外科処置のため出血の場面もあるかと思いますのでご覧になる方はお気をつけください。

以前掲載したブログからの症例となりますので、他の症例をご覧になりたい方は

今後「歯牙移植症例集」をU Pしていきたいと思っておりますので、そちらをお待ちいただければ

幸いです。

 

それでは歯牙移植の条件をここで列記していきます。

移植歯(ドナー歯)の条件

 

・歯根膜の状態

健全な歯根膜が歯根についていることが絶対条件

ドナー歯が歯周病により歯周組織が破壊されてしまっていたり、アンキローシスといって

骨に癒着を起こしてしまっている場合は当然歯牙移植には向きません。

また、ドナー歯の抜歯の際に歯根膜を傷つけてしまってはその後の予後に関わるために、

後で触れますが、愛護的な抜歯が必要となります。

 

・歯根の形態

単根で湾曲のない歯根が望ましい

望ましいなので絶対条件ではありませんが、ただでさえ煩雑な歯牙移植を単純な手術にするかを

考えたときにとても大事な要素となります。ドナー歯摘出時における歯根破折、歯根膜剥離の

リスクや移植床に移植して手術を終えるまでの時間は手術そのものの成功率に関わる大事な

ポイントです。

「より単純な歯牙移植のためにはより単純な歯根形態」

を常に気をつけ、時には反対側から移植することも視野に入れて計画を立ててもらいましょう

 

・歯根の完成度

歯根未完成の移植歯の場合、根管治療が不要になることがある

基本的に歯牙移植を行う際にドナー歯は神経が死んで(失活)しまいます。

失活による破歯細胞(歯を吸収させる細胞)を活性化が、歯周組織の再生を妨げる恐れが

あることから通常移植後に根管治療を行うことが一般的です。

しかし、歯根未完成歯の場合、歯小嚢(歯根に変わっていく組織)が残存していれば歯根の

生長が期待できるため、根管治療が不要になることもあります。

このことから若年者の場合、歯根の完成度も今後の治療計画を左右するので相談してみて

ください。

 

・歯髄の感染の有無

歯髄感染から根尖性歯周炎への波及による歯根膜のダメージ(生活歯が望ましい)

根尖性歯周炎を起こしている失活歯の場合、歯周組織が破壊されているため、歯根膜の再生が

見込めないことがあり、歯牙移植の成功率を下げてしまう恐れがあります。

事前に根管治療を行い、歯周組織の回復を待ってから歯牙移植を行うことが望ましいでしょう。

また失活歯(神経のない歯)は移植時に歯根破折を起こしやすいため、生活歯以上に抜歯時の

歯根破折に注意が必要です。移植歯を選ぶ際はなるべくリスクの少ない歯を選びましょう。

 

今回は移植歯(ドナー歯)の条件についてお話しさせていただきました。

次回は移植床(レシピエント床)の条件についてお話させていただきます。

 

あなたの歯が一本でも多く残せますように・・・

 

医療法人社団徹心会ハートフル歯科