こんにちはハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

今回のシリーズは症例集ではなく、当院の「保存的治療」についてお話しさせていただいております。

 

前回から「フェルール確保のための3種類の治療法のそれぞれの特徴と注意すべき点」について

お話させていただいておりますが、

今回は前回に続き、外科的挺出法(意図的再植法)についてお話させていただきます。

 

前回のブログはこちら

「歯肉を切って歯を保存する!? フェルール確保のためのクラウンレングスニングとは」

https://heartful-konkan.com/blog/21714

 

 

外科処置のため出血の場面もあるかと思いますのでご覧になる方はお気をつけください。

以前掲載したブログからの症例となりますので詳しくは以前のブログもお読みください。

 

それでは当院で行う3種類のフェルール確保の治療法についてご紹介します。

 

②外科的挺出法(意図的再植法)

これは読んで字の如く、歯を意図的に一度抜いて、浅く植え戻すという治療法。

3種類の治療法の中では一番単純で、患者さんもイメージつきやすい治療法です。

浅植えするために、回転再植といって90°や180°くるっと回転して浅植えすることもありますが、

それによりフェルールを確保するというもの。

成功率としては短期的な予後として90%くらい見込める治療法となります。

しかし、注意点としては

 

一つ目に「歯根形態」

再植をするということは一度抜歯を行わなければなりません。

溝が深い細身の歯根や複数根あってタコさんウインナーのように曲がった歯根、

湾曲した歯根や肥大した歯根などは抜歯時に歯根に大きな負担がかかるので、

再植時に生着に大きな役割を果たす歯根膜をいう組織にダメージが加わりやすく、

再植後に生着不良が起き抜歯に至る可能性が高いため、注意が必要です。

そもそも単純な歯根形態でなければ再植時に元に戻せないので、再植そのものが難しいとされています。

 

二つ目に「患者さんの全身疾患の有無」

糖尿病のように術後感染を起こしやすい疾患や再植手術中に止血作業が困難になるような

患者さんはそもそも他の外科処置に関しても適応ではありません。服用薬や既往歴に確認も

必ず行っております。

 

三つ目に「成功率」

根尖病巣があっての意図的再植、破折歯に対しての再植法に比べ、残存歯根の歯根膜は健全で

あることが多いのですが、一度口腔外に摘出した歯が再植となると、治療の成功か否かは

術後の歯根膜の付着の獲得の可否によるものが多いです。

上記二つの項目も重要ですが、患者さんの年齢や喫煙歴も直接成功率に関わってくる要因

といえるでしょう。

 

将来的な外部吸収などのリスクも踏まえて患者さんと計画を立てることが重要だと考えます。

 

今回は外科的挺出法(意図的再植法)についてのお話だけになってしまいましたが、

次回は残りのフェルール確保の治療法ついてお話したいと思います。

 

 

あなたの歯が1本でも多く残せますように・・・。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科