歯の移植治療のアップデートの実際① 歯牙レプリカ編
こんにちは!ハートフル歯科総合グループ 歯科医師 小坂井竜也です。
前回までは、アップデートされた歯牙移植治療についてお話ししていきました。
おさらいになりますが、基本的には4点
①移植歯レプリカの利用
②移植ガイドの作成
③再生療法
④深め埋入(MTM部分矯正の応用)
が挙げられました!
今回は①の移植歯レプリカについて、臨床でのお話をしていきます。
正直、①に関しては、どの移植でも必須であると感じるくらい有効性が高いのですが、
得に効果的だったケースをご紹介していきます。
⑴元々歯のない部分の場合
⑵保存不可の歯を抜歯して治癒を待機する場合
になります。
⑴に関しては、ガイド等を用いるのですが、やはり、インプラントを基準に
しているので、ただガイドどうりに骨を削って行ってもなかなか移植歯に対して
ピッタリ適合するわけではありません。
どちらかというと、ガイドに関しては、オーバートリートメントの防止に有効性を感じます。
ここで、移植歯のレプリカがあれば、ガイドでそれなりに仕上げた骨の部分に、レプリカへの
適合を合わせるように仕上げることが出来るので、時間短縮、精度アップが見込まれます。
⑵に関しては、所謂待機埋入のケースです。
ここで疑問に思った方もいらしゃるかもしれません。
抜いたその場で歯を移植するのが当たり前なのでは?という思いです。
実は、それが適応となる場合は、歯が割れていて時間の経っていない場合と虫歯が大きく、根っこのみ残ってしまった場合となります。
そして、待機するケースは、根っこが膿んでしまった場合で、膿が大きい状態の時に行います。
この状態で、すぐに移植を行うと、移植歯に感染が起こる場合があったり、骨が溶けてしまっていて、足場として安定しないことが多いので、成功率が下がってしまいます。
そのため、状態の悪い歯を抜いて、膿をある程度除去して3週間から一ヶ月半程治癒を待ちます。
あまり長く待機すると骨が吸収してしまうのですが、この期間であれば、感染部分も排出され、かつ、足場の骨もそれなりに残っているので即座に移植するよりも成功率が上がります!
そして抜歯した際に、歯牙レプリカに適合を合わせることにより、やはり待機後の手術の時間短縮及び精度が格段にアップします!
これらが特に移植に関してレプリカの有効性を感じた症例になります!
次回は、残りの項目の臨床上で感じた有効性についてお話ししていきます!
全ては患者のために!