歯牙移植のアップデート!より成功率を上げる4つのポイント④MTMの応用(深め埋入)
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 歯科医師 小坂井 竜也です。
今回は過去の症例よりアップデートされた歯の移植治療についてお話ししていきます。
前回まではこのアップデートさせた4点の「歯牙レプリカ」「移植ガイド」「再生療法」についての有用な点を挙げさせていただきました。
今回は残りの1点、MTMの応用(深め埋入)についてお話ししていきたいと思います。
おさらいになりますが、移植治療の成功率の左右する因子として大切な要素に、移植歯の術後の密着性や根っこに付着している歯根膜の保護が挙げられます。
従来の治療方法で、移植が難しいと診断されるケースは何か?というと
移植される側の骨や歯肉が少ない状態です。
この状態で、移植を無理にしても、なかなか良い生着が見られない場合が多く、うまくいっても動揺が出てきたり、悪い場合には歯が抜けてしまうケースもありました。
その状態を改善するために、「再生療法」の応用がまずは挙げられました。
そして今回は、そもそも骨が歯を支える部分に少なければ、骨が確保できる下の方向に移植を行えば良いという「深め埋入」という方法です!
でも絶対的な疑問が生じます。
深めに移植したら、そもそも歯の頭が大きくなって、噛めるような歯にならないのではないか?噛み合わせが強いとすぐにダメになってしまうのではないか?
そもそも埋まるくらい深い状態だと歯を作っていく事が不可能ではないのか?
ということです。
これを解決するのが「MTM(部分矯正)」です!
過去にブログでお話したことがあるのですが、根っこが歯肉に埋まってしまっている場合は、基本的に土台を立てて被せ物をしても、すぐに取れてしまったり、根っこが折れてしまうのです。
それを矯正装置でゆっくり引っ張り上げることにより、歯肉の上に歯を出していくのがMTMでした。
その際に、歯を支える骨や歯肉が一緒にできてくるのです。
これを応用したのが、この移植における、MTMの応用(深め埋入)なのです!
これが出来ると本当に移植の適応範囲が広がります。
これは本当に画期的!
再生療法では成功率を上げることはできるのですが、基本的は移植の適応範囲を広げるまでには至りません。
注意点は、移植した歯は通常のMTMと違って移動するペースに予測がつきにくいので、定期管理をより厳密にする必要がある点です。
このデメリットをもって有り余るメリットを生かさない点はありません!
この4つのアップデートを駆使して、より患者さんが自分の歯で噛めるように目指します!
全ては患者さんのために!