根管治療が必要かどうかの確認
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、右上の歯の根管治療をした患者さんの治療について書きたいと思います。
患者さんはむし歯がないか歯科検診を希望されて来院されました。
まずは、口腔内診査やX-P写真を撮影するなど検査をしていきます。右の上の前から数えると5番目の歯の第二小臼歯の歯の頭の部分(歯冠部)が変色しています。デンタルX-P写真から右上第二小臼歯の根の先(根尖)部分に透過像といって黒い影が確認されました。続いて打診痛を確認していきます。歯科用器具をしようして今回治療が必要と思われる右上第二小臼歯や前後の歯を叩いて反応をチェックします。打診を確認すると特に目立った反応はありませんでした。根尖部圧痛の確認をします。根尖部圧痛とは根の先を指や歯科用器具で触って反応を確認します。今回は特に問題となる反応はありませんでした。これまでの検査では特に目立った反応は確認できませんでした。しかし、歯の変色、X-P写真の所見の根尖部の透過像が気になります。次に、電気歯髄診断器を使用して歯髄の診断をしていきます。歯髄とは歯の神経です。この電気歯髄診断器は、歯の微量な電気を流します。
微量な電気から徐々に強い電気が流れ反応を確認します。歯の神経が正常であると電気歯髄診断器の電流が流れるとピリピリした感覚があります。正常な反応ということです。生活歯といって歯の神経は問題ないと判断します。しかし、電気歯髄診断器から強い電気を流しているのにもかかわらず何も反応がなかった場合、もしくは反応がわかりづらかったりする場合は歯の神経が正常に働いていない可能性があります。歯の神経がないまたは正常に機能していない歯を失活歯といいます。今回は電気を流してもまったく反応がありませんでした。失活歯と判断しました。電気歯髄診断だけがすべてではありません。総合的に判断してどの治療を行うか、または経過観察にするかを決定します。
今回は歯の変色、X-P写真の所見の根尖部の透過像があること、電気歯髄診断の結果を考慮してこの歯は失活歯と診断し根管治療が必要と判断しました。
今回のように患者さんの自覚症状がない場合での根管治療が必要なケースもあります。定期的に歯科検診もとても重要ですね。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史