根管治療のイスムスについて
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、左上の歯のむし歯が大きくなり根管治療をした患者さんの治療についての続きになります。
前回のブログです→
前回までは左上の前から4番目の第一小臼歯のむし歯が歯の神経(歯髄)にまで達しているぐらい大きいため根管治療を行いました。
まず、根管治療をする前に歯の頭の部分(歯冠部)のむし歯を徹底的に取りました。その後、歯質が薄い部分を補強するために歯科用のプラスチックのコンポジットレジンで隔壁を作成しました。
今回はラバーダムといってゴムのマスクを左上第一小臼歯に装着して根管治療を行っていきます。
根管治療をしている歯の上顎第一小臼歯です。この歯は大きい根管口(根管の入り口)が2つあります。その2つの根管をキレイにしていきます。
イラストを作成しました。イラストで説明していきます。
このイラストでは上段が根管治療をスタートした時のものです。下段は根管治療を進めていった状態をイラストにしました。左側は咬む面(咬合面)のイラストです。右側は歯根表面が確認できる面のイラストです。
今回の特に書かせて頂きたいことはイスムスについてです。
イスムスとは根管と根管との間にある細く狭いくぼみのようなものです。このイスムスに細菌や古い根管充填材などがたまりやすいです。このイスムスの処置をしないと根管治療は上手くいきません。なぜなら、このイスムスに細菌など汚れがたまりやすいからです。そこから感染が広がる可能性が高いです。
今回のケースは2つの大きな根管と根管が根尖(根っこの先)でつながっていました。イスムスを処理していくと2つの根管もつながっていました(右下のイラスト)。
こちらがイスムスを処置して2つの根管を1つの根管になりました。点線で囲っているところが根管です。
根管の形態によっては2つの根管がつながっていなく別々の根管の場合もあります。
歯によっていろいろな根管形態があります。
場合によっては歯科用CT撮影をして3次元的に根管の形態を確認することもあります。
今後ともなるべく歯を残すために精進していきます。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史