右上第二小臼歯のエキストリュージョン後の歯冠長延長術
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、右上の歯の被せ物と土台の心棒が脱離し来院された患者さんのケースについて書きたいと思います。
前回までのブログです→https://heartful-konkan.com/blog/18950
エキストリュージョンはむし歯や歯の破折などで歯質が著しくなくなった場合に行う治療です。治療としては矯正的に歯質の少なくなった歯を引っ張り上げます。前後の歯(隣接歯)に金属のワイヤーを取り付けます。歯質の少なくなった歯にはフックを付けて矯正用のゴムで引っ張ります。
ゴムで引っ張ると歯質が引っ張り上がります。歯質が引っ張り上げるとともに歯の周りの歯周組織も上がります。
今回は歯冠長延長術(クラウンレングスニング)といって歯質の量を増やすために行いました。
エキストリュージョンで歯質の少ない歯を引っ張り上げても、歯肉が歯質に被っている状態では被せ物ができません。被せ物がキッチリ接着するためには十分な歯質の量が必要です。そこで歯肉を整えます。
エキストリュージョンで十分に歯質の少ない歯を引っ張り上げたら歯冠長延長術を行っていきます。
まず歯科麻酔をしていきます。麻酔が効いているか確認してから、メスで必要ではない歯肉を整えていきます。
歯質の量の十分に確認できたら歯肉を縫合していきます。
こちらは歯冠長延長術をして1週間後の写真です。歯肉から出血があったため白黒にしています。
右側が歯冠長延長術(クラウンレングスニング)を行う前です。左側は歯冠長延長術(クラウンレングスニング)1週間後になります。
術前に比べてエキストリュージョンによって歯質を引っ張り上げて、その後に歯冠長延長術(クラウンレングスニング)にて歯肉を整えた結果歯質の量が右よりも多く確認できます。
歯冠長延長術(クラウンレングスニング)後1週間のため、まだ歯肉の状態が凸凹していて落ち着いていません。歯肉の状態が落ち着いてから被せ物の型を取りたいと思います。
今回はエキストリュージョンで歯質の少ない歯を引っ張り上げ、その後歯冠長延長術(クラウンレングスニング)について書かせて頂きました。
すべての方、すべての歯に歯冠長延長術(クラウンレングスニング)が行えませんがなるべく歯を残すために精進していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史