右上第一大臼歯の根管治療をするための隔壁作成
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、右上の歯肉が腫れて来院された患者さんのケースについて書きたいと思います。
前回のブログです→https://heartful-konkan.com/?p=18938&preview=true
前回までは歯肉の腫れの原因は古い修復物の劣化による段差と判断し以前に治療された金属の修復物を除去した内容について書きました。
今回は古い修復物の金属を除去したあとの根管治療について書きたいと思います。
こちらが古い修復物の金属を除去した状態です。金属の修復物の下にむし歯がありました。そして、右上第二小臼歯の歯肉と右上第一大臼歯の歯肉の間が真っ赤に腫れています。今回の歯肉の腫れの原因は金属の修復物の劣化による段差ができ、その段差に細菌が集まり結果歯肉が腫れたと思います。
右上第一大臼歯は以前根管治療をしている歯です。根管治療後に根管内につめる最終的なお薬のガッタパーチャがむし歯などで汚れています。今回はむし歯を徹底的に除去して根管治療を行っていきます。
何事も準備することが大切です。根管治療を開始するためにも準備が必要です。根管治療を始める前にまず当たり前ですが、むし歯を徹底的に取り除きます。
根管治療は歯の根っこの根管をキレイにして、根の先の根先部の治癒を目指します。歯の頭の部分(歯冠部)にむし歯がある状態で根管治療を行うと、どうなるでしょうか?
歯冠部のむし歯を根管内に入れてしまい、場合によっては根先部に押し込んでしまう可能性もあります。このようなことがないように根管治療を行う前に歯冠部のむし歯や汚れは徹底的に取り除きます。
歯冠部のむし歯を徹底的に取り除くと歯質の量が少なくなります。歯質の量が少なくなると歯が割れたり、根管治療中にラバーダム防湿ができなかったり、根管治療中のお薬が漏れてしまったりなどなどあまり良くありません。
そのため、隔壁といって歯に歯科用プラスチック(コンポジットレジン)を使用して補強していきます。
歯質が薄い部分に隔壁を作成した状態です。
歯質が薄い部分に隔壁を作成した状態です。
点線部で囲った部位が隔壁です。
ラバーダムを歯に装着するためには十分に歯冠部の歯質があるかコンポジットレジンでの隔壁が必要です。なぜなら、ラバーダムを装着にはクランプという金属を歯冠部にかけないといけないからです。
この状態になってから根管治療を開始します。
すべての方、すべての歯にラバーダム防湿ができる訳ではありません。担当の歯科医師の判断によって行っていきます。
今回はここまでです。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史