こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、右上の歯肉が腫れて来院された患者さんのケースについて書きたいと思います。
前回のブログです→https://heartful-konkan.com/blog/18943

右上の前から5番目の第一小臼歯と前から6番目の第二大臼歯の間の歯肉が腫れています。金属の劣化により段差がありました。金属の段差と歯質の間に隙間があいてしまい、細菌がその部分に集まり歯肉が腫れたと思います。古い修復物の金属除去をしました。その後、むし歯などを取り除き根管治療しています。
むし歯や古い接着材などを除去すると歯の頭の部分の歯冠部がなくなります。歯冠部を再現するために、隔壁といって歯科用プラスチックのコンポジットレジンで修復します。今回は特に右上第一小臼歯と右上第二大臼歯の間の部分の歯肉が腫れていたため、そこの部分の歯肉からの立ち上がりを注意して隔壁を作ります。今回の右上第一大臼歯の歯冠部があまりないため、薄い歯質に下の歯が咬み込んでしまうと歯冠破折といって歯が割れてしまう可能性があります。なるべく歯を削りたくはないですが、薄い歯質を無理に残してしまい歯冠破折を起こしてしまうといけません。状態が悪い場合は歯の頭の部分の歯冠部だけの歯冠破折ではなく、歯の根っこの部分にまで割れてしまう歯根破折をしてしまうと歯がもたなくなる可能性が高くなります。そのため、なるべく歯を削りたくはないですが歯冠破折や歯根破折のリスクがある部分、例えば歯質が薄い部分や咬み合わせが強く当たっている部分などは削って強く当たらないようにします。
歯質を削る量などは担当歯科医師の判断になります。
歯周病治療、根管治療が終わったら最終的には補綴治療をいって被せ物を取り付けて下の歯と咬み合わせるためご安心ください。
こちらが、術前と古い金属の修復物を除去して根管治療を行ってから1週間後です。

左側が術前、右側が根管治療1週間後です。
点線で囲んでいる部分の歯肉の腫れが改善傾向にあります。
患者さんから毎日の歯磨きの際にも歯肉から出血がなくなったそうです。
歯肉に炎症や腫れがあるとブラッシング時に歯肉から出血があります。
まだ、歯肉の腫れなどはありますが症状とともによくなっていてよかったです。
この後も根管治療をして被せ物を取り付けるなど治療を進めていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史

医療法人社団徹心会ハートフル歯科