右上の歯のエキストリュージョン
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの歯科医師井上貴史と申します。
今回は、右上の歯の被せ物が脱離し来院された患者さんのケースについて書きたいと思います。
被せ物が脱離した歯の痛みや違和感などの症状はありませんでした。
口腔内診査といって患者さんお口の中を確認していきます。
患者さんは右上4番目の歯はもともとなかったようです。
今回は上の前歯から5番目の歯の第二小臼歯です。土台と被せ物が取れています。一部歯の上に歯肉が覆い被っています。歯肉が歯の上に乗ってくるくらい歯冠（歯の頭）部がない状態です。この状態だと土台も被せ物も歯につけることは難しいです。
歯と歯の間から浸出液などが出て歯を乾燥することが難しいです。健全な歯の量がないため土台や被せ物がくっつくことが難しいです。
デンタルX-P写真撮影を行いました。
やはり歯の量がないです。歯根の長さもあまりありません。
今回の土台と被せ物が脱離した原因は中がむし歯になったことだと思いました。
あまり状態のよくない歯と思われます。
被せ物を歯につけられないとなると機能することができないということになります。つまり、保存か難しく抜歯になる可能性があります。
患者さんはなるべく歯は抜かないでほしいことを希望しています。
患者さんとよくこの状況を説明しました。
MTM(小矯正)の中のエキストリュージョンという治療を提案しました。
エキストリュージョンとは、歯を矯正的に挺出します。むし歯や破折などが原因で歯肉縁下（歯肉の下）まで健全な歯がない状態の歯を歯科用のゴムの力で矯正的にひっぱる治療です。
患者さんにエキストリュージョンの治療法について説明し同意を得て治療を進めていきます。
エキストリュージョンの治療は自費治療になります。
今回は土台と被せ物が脱離した方の治療法としてエキストリュージョンについて書かせて頂きました。
次回は実際にエキストリュージョンの治療について書きたいと思います。
なるべく歯を抜歯しないですむように治療を行っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史
