外科的根管治療 状態の悪い歯を残す!①診査診断
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 小坂井 竜也です。
今回は、根っこの状態が悪く、かつ、歯質の少ないケースを救うのを目的とした症例です。
簡単に説明すると、根っこが膿んでおり、かつ、歯肉の上の歯が無い状態の治療方法についてお話をしていきます。
はじめに言っておきますが、今回の歯の状態は悪く、どちらかといえば【延命】に重きをおいている症例となります。
今回の歯がなぜ治療が難しいか、は2点あります!
1、歯肉の上に歯がない
2、根っこの膿が大きい
という点が挙げられます。
通常、教科書どおりの診断であれば、1、2のどれか1つにでも当てはまれば抜歯という選択肢に当たります。
しかし、延命を試みるのであれば、
1の状態であれば、通常は過去のブログに記載したMTM、APFにて対応することが可能です。
2の状態であれば、通常の根管治療を行って、治癒が悪ければ外科的根管治療の歯根端切除術を行います。
しかし、今回は1、2の複合的リスクが存在するのです。
1だけ行っても、根っこの病巣のため、歯の動きは悪い場合も考えられるのと、
そもそもの根っこ治療にはならないので、骨、歯が吸収されていくことには変わりありません。
また、上顎洞という鼻に繋がる空洞に近接している可能性があり、オペのリスクもあります。
2だけおこなって歯の病巣を除去できたとしても、歯が歯肉の上に存在しないので、
結局1の処置をするのですが、外科的治療を行っているので根っこの長さや歯肉のダメージ的にも気をつけなくてはならないのです。
つまりは1、と2を単独で行うだけですと、この歯を救うことにはなりません。
できればその歯や周囲組織のダメージを少なくするために1、2を同時に行っていくことが理想となってきます。
しかし、さきにあげたMTM、APF、歯根端切除術を単独ではむずかしい・・・
さて、これでは手づまりです・・・歯を抜いてインプラントやブリッジ、部分入歯にしていくことは出来るのですが
患者さんは何とか歯を延命することを望んでおります。
私個人としても、歯科医師として何とかその期待には沿いたいものです。
これを解決できる方法がひとつだけあります!
それは、外科的根管治療である【意図的再植】
と歯肉の上に歯を頭出ししてく【外科的挺出】
を組み合わせて治療していく方向性にきまりました!
この組み合わせは非常に相性ががよく、先の問題である1,2の問題は解決します。
根っこが短くなってしまう点は致し方ないのですが、
歯を抜く前提でのチャレンジケースとして了承していただきました。
次回は、これらの治療法についてくわしくお話していきたいとおもいます。
すべては患者さんのために!